51歳、おきて破りの新弟子入門—。千葉県警松戸署は30日、さいたま市から千葉県松戸市までタクシーを無賃乗車したとして、詐欺の現行犯で住所不定の無職・佐藤義松容疑者(51)を逮捕した。佐藤容疑者が目指したのは大相撲の大関・琴欧洲らを擁する佐渡ケ嶽部屋。「支払いは親方がする」と運転手に話していたが部屋とはまったく無関係だった。調べに対して「佐渡ケ嶽部屋に入門するつもりだった」と一貫して言い張っているという。
駆け込み入門?の51歳は、佐渡ケ嶽部屋の敷居すらまたがせてもらうことができず、お縄となった。
松戸署によると、佐藤容疑者は30日午前9時頃、さいたま市のJR大宮駅付近で「佐渡ケ嶽部屋まで」と言ってタクシーに乗車。同部屋は1994年10月に現住所に移転するまでは墨田区太平にあったため、移転を知らない容疑者と男性運転手は最初に東京方面へ向かった。しかし墨田区の旧住所を訪ね、初めて移転に気づき、今度は松戸へ。2時間以上かけて午前11時25分頃、ようやく部屋に到着した。
タクシー代金は2万500円。すると佐藤容疑者は「部屋に入門することになっている。支払いは親方がする」などと話し支払いを拒否。不審に思った運転手が、朝げいこの指導を終えたばかりの佐渡ケ嶽親方(40)=元関脇・琴ノ若=に直接会って確認したところ、部屋関係者との面識は一切ないことが判明した。運転手の110番通報で駆けつけた署員に逮捕された佐藤容疑者は、完全に手ぶら。ズボンのポケットに現金34円だけが入っていた。
佐藤容疑者は身長約170センチのやせ形。新弟子基準は173センチ以上、75キロ以上か、または167センチ以上、67キロ以上で体力テストを合格した者に限られる。なんとか体格基準をクリアしたとしても年齢制限が中卒以上23歳以下となっており、佐藤容疑者はすでに28年もオーバー、そもそも入門は不可能だ。アマチュア相撲の経験もない模様だという。
佐藤容疑者は、ほとんど一文無しだったことから、かなりの空腹状態だったという。相撲部屋では朝げいこの見学者らに対して「ちゃんこ料理」を振る舞うこともあり、それ目当てだったのではと指摘する関係者もいる。
事件の顛末(てんまつ)を聞いた先代・佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)のおかみさんは「本当に残念な話。若い人のお手本にならないといけない年なんですからしっかりしてほしいものです」と新弟子志願の男の不始末を嘆いた。
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