外国人労働者をめぐる雇用情勢の悪化に伴い、各地のブラジル人学校で児童・生徒が激減している。愛知県では昨年5月に約2600人いた生徒が、今年1月には1470人にまで減少した。岐阜県でも、昨年秋の約1000人から600人弱に減っており、三重県も同様の状況だ。
2006年11月にブラジル人学校として、全国で初めて学校法人の認可を受けた岐阜県大垣市の「HIRO学園」。昨年12月には5歳から高校3年生まで約300人が在籍していたが、今月28日には208人に減った。同学園の川瀬充弘理事長(53)は「職を失った保護者が帰国したり、雇用保険だけの生活になったりして通学できないケースが目立つ」と話す。
愛知県でも状況は同じだ。同県が今月、県内の16校を緊急調査(15校が回答)したところ、昨年5月の3分の2に減っていた。
同県豊田市のEAS豊田校では、昨年11月以降、100人以上が退学し、生徒が半減した。豊田市はハローワークと共同で、外国人の就職相談会を開催しているが、「学費を払えなくなった」と話すブラジル人が多かったという。
三重県が唯一、補助金を出している四日市市の認可学校「ニッケン学園」では、昨年11月に254人いた生徒が、同12月下旬には163人になった。さらに、60人から自主退学の申し入れがある。また、同県鈴鹿市の無認可学校・EAS鈴鹿校では、昨秋に約400人いた生徒が現在、約200人と半減。新学期が始まる2月1日には例年100人近くが入学していたが、今年の新入生はゼロになりかねない状況という。倉橋徒夢(とむ)代表(29)は「行き場を失った子供たちの学費援助など、行政も対策を急いでもらいたい」と訴えている。
政府は30日、景気後退の影響で生活に困っている定住外国人に対し、教育、雇用など5分野で支援する緊急対策をまとめた。
教育面では、学費が高い私立の外国人学校への通学が困難となった児童・生徒が公立学校に円滑に転入できるよう、公立学校に外国語を話せる支援員や相談員を配置する。無認可のブラジル人学校などは、月4〜5万円と高い学費で運営されているところが多いという。雇用面では、日系人が特に多い地域の公共職業安定所に、定住外国人専門の窓口を設けることなどを打ち出した。