米国でピーナツバターによる食中毒が全国規模に拡大し、連邦政府の関係機関当局は30日までに、サルモネラ菌を検出しながら商品出荷を継続するなど、ずさんな衛生管理が明らかになっている南部ジョージア州の工場を捜査、運営する会社の刑事責任追及に着手した。
同社の商品が原因とみられる食中毒は昨年9月ごろから発生。8人が死亡し、43州の約500人が下痢などを訴えた。当初、原因がはっきりしなかったが1月に判明。商品回収は過去最大級の400品目以上という。
会社はピーナツ・コーポレーション・オブ・アメリカ。ニューヨーク・タイムズ紙などによると、米食品医薬品局(FDA)などの調べで、工場の建物のさびが食品に落ちる恐れがあったり、倉庫にネズミが入り込むすき間があったりしたことが分かった。
さらに同社は2007—08年、サルモネラ菌を12回検出しながら、再検査で異常がなかったとして出荷を継続。原料と商品を別々に保管するという規則も守っておらず、壁や天井からカビも見つかった。
商品はピーナツバターやピーナツペーストの形で主に食品メーカーに出荷され、クラッカーやアイスクリームなどの原料になった。死亡したのは成人だが、被害者の半数は子どもとみられる。
米国では最近、食中毒発生に伴ってホウレンソウや青唐辛子「ハラペーニョ」などの回収が続発。ピーナツバターの食中毒被害を受け、FDAの機能強化や食品安全の専門機関設置を求める声が強まっている。(共同)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090131-OHT1T00226.htm