PCゲーム市場は現在流動的な状態であり、デジタル流通や登録制のゲームの普及によって、正確にその大きさや健全さを判断するのはますます難しくなってきている。一方では、「World of Warcraft(WoW)」が史上もっとも収益性の高いPCゲームとなっており、1200万人近くのユーザーが毎月、この多人数同時参加型ゲームの世界を探検している。また、Valve SoftwareのSteamサービスも台頭してきており、過去および現在ダウンロード可能なPCゲームのリストは毎日拡大している。
その一方で、店頭でのPCゲームの売り上げは落ちている。実際、大きく落ち込んでいると言っていい状況だ。NPD Groupは、非PCゲーム産業の売上高が不景気を跳ね返す勢いの213億ドルを記録したと発表した1週間後、米国のPCソフトウェアの小売売り上げは23%減の7億110万ドルになったことを明らかにした。売り上げ本数が2910万本に落ち込んだというのは、これまでの傾向を見ると非常に顕著な減少だと言える。2007年の売上高は9億1100万ドルであり、これは9億7000万ドルだった2006年に比べ、前年比2%の減少だった。2004年の米国のPCゲームの小売売り上げは、主にWoWの発売で、史上最高の11億ドルだった。
PCゲームの品揃えが2008年の売上高の減少に影響している可能性もある。2008年にもっとも評判の高かった2つのタイトルは拡張パックだった(「World of Warcraft: Wrath of the Lich King」「Crysis Warhead」)。Lich Kingをプレーするためには、2007年に発売された拡張パックBurning Crusadeを所有している必要がある(それ自体、オリジナルのWoWを必要とする)。Crysis Warheadはスタンドアロンでもプレーすることができるが、そのストーリーは完全に2007年に発売された前作のCrysisのものに依拠している。
期待の高かったWill Wright氏の「Spore」も2008年のヒット作の1つだったが、その売上高は同氏の過去の大ヒット作品「The Sims」には遠く及ばなかった。同タイトルは発売第1週に世界で100万本の売り上げ数を記録した後、最終的には世界で200万本強売り上げた。2008年末までには、同ゲームは米国で72万本以上売り上げている。
興味深いことに、NPD Groupは例年とは異なり、独自に2008年のPC用ゲームに関するトータルの統計を発表することはしなかった。その代わり、その情報はEntertainment Software Association(ESA)が行った、2008年の全体としてのゲーム売り上げの好調を誇る発表の中に組み込まれていた。2008年のゲーム売り上げは、PCの売り上げも含めた全体で220億ドルだった。
ESAのプレジデントであるMichael Gallagher氏は声明で、「ゲーム産業は困難な経済状況の中でも成長を続けており、わが国の地方、州、全国の経済を、記録破りの数字と急速な技術的イノベーションで支えている」と宣言している。「われわれの業界の優秀なクリエイター、アーティスト、ストーリーテラーが比類なきエンターテインメントの提供に全力を傾けていることが、この急成長を支え、ゲームを今日の市場で需要の高いメディアに押し上げた」(Gallgher氏)(CNET Japan)