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2009年01月30日(金) 03時05分

グッドウィル仲介の公認会計士側、議員秘書に利益660万円読売新聞

 旧「グッドウィル・グループ」(GWG)の人材派遣会社買収に絡み、仲介した公認会計士(51)側に計約180億円が流れていた問題で、会計士側がこの資金の一部で自民党・中川秀直元幹事長の公設第2秘書らが出資していた携帯電話リサーチ会社を買収していたことがわかった。

 買収額は破格の高値で、秘書も持ち株の売却で660万円の利益を手にしていた。会計士に近い関係者は「元幹事長とのパイプがあれば、何かの時に役立つと考えた」と証言している。

 会計士側が買収したのは東京都港区にあった「モバイルジャッジ」。GWGが2006年10月、人材派遣会社買収のためにコリンシアンファンドに出資した883億円から会計士側には約180億円が入っていたが、会計士側はこの一部でGW投資事業有限責任組合(GWファンド)を設立。07年7月にこのファンドでモバイル社の株主7人から全株式の50・1%にあたる301株を1株60万円、計1億8060万円で買い取った。

 モバイル社は、同年2月に中川元幹事長の当時の第2秘書らが出資して設立されたベンチャー企業。秘書は設立時に1株5万円で24株を取得しており、このうち12株の売却で計660万円の利益を手にしていた。5か月で企業の価値が12倍に膨らんだ形だが、買収時点の売り上げは計126万円で、経常損益は3118万円の赤字だった。

 会計士側は高値での買収に応じた理由を、モバイル社から経済産業省の事業「情報大航海プロジェクト」の受注先の1社に内定したと聞いたためと説明する。しかし、関係者は「買収を通じて政界の実力者の秘書に接近できれば、投資先の企業に問題が起きた時に心強いと思った」と証言、秘書らに利益を上げさせるのも目的だったことを認めている。

 「情報大航海」は、IT産業活性化のために国の支援で情報検索・解析技術などの開発を目指す事業で、モバイル社は買収を打診した約3週間後、ネットによるアンケートシステムの実証実験を約1億円で受注した。しかし、その後は業績が低迷。会計士側などは昨年7月、モバイル社と別のIT関連会社の株を株式交換したが、IT会社はその後1か月余で経営破綻(はたん)、損害を被った。モバイル社も11月に解散した。

 秘書は昨年2月に公設秘書を辞職、中川元幹事長の事務所を先月に退職した。読売新聞の取材に「友人に誘われ、投資目的でモバイル社株を買った。将来性のある事業があり、高く株が売れるとだけ聞いていた。どこに売ったのかも知らない」と話した。元幹事長の事務所は「元秘書個人の取引だが、誤解を招く結果となったことは極めて遺憾です」とコメントしている。

 モバイル社社長は、取材への具体的な回答を拒否している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090130-OYT1T00015.htm