東芝の2009年3月期決算がソニーとともに過去最大の営業赤字に陥る見通しになり、自動車業界に続き電機業界の業績悪化も鮮明になった。
電機各社は不採算事業からの撤退などリストラを加速させている。(山本貴徳、滝沢康弘)
東芝 半導体「一部」分社東芝は米半導体メーカーのサンディスクと共同開発を進めるなど、半導体事業を原子力事業と並ぶ収益の柱に位置づけてきた。事業の「選択と集中」は、半導体市況の低迷と昨秋以降の景気悪化に伴う急速な需要減によって裏目に出た。
東芝が29日に発表したリストラ策は半導体事業の立て直しが中心だ。三重県と岩手県でそれぞれ09年春に予定していた2工場の建設着工を延期するほか、売上高で同社の半導体部門の約4割を占めるフラッシュメモリー以外の事業は分社化の検討に入った。
液晶事業でもパナソニックとの合弁の魚津工場(富山県魚津市)を閉鎖する。09年度の設備投資額は、08年度見込みの約半分の2300億円に圧縮する。一連のリストラで09年度の固定費は08年度から3000億円減る見通しだ。西田厚聡社長は29日、「環境の急回復を期待しない前提で経営に取り組む」と強調した。
ソニー 正社員削減に着手一方、ソニーが29日発表した08年4〜12月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年同期比85・8%減の665億円、税引き後利益が同80・6%減の662億円だった。
東芝以外も不採算事業の整理を加速させている。富士通は不振のハードディスク駆動装置(HDD)事業からの撤退を決め、シャープも、携帯電話やパソコン向けの中小型液晶パネルを生産する工場の生産ラインの一部を閉鎖する。
正社員削減の動きも出てきた。ソニーは2月中旬から希望退職を募集、三洋電機も国内外で最大600人程度の正社員を削減する。