田中真紀子元外相(65)が29日、衆院本会議での各党代表質問に立ち、麻生太郎首相(68)と初対決した。内閣支持率低迷でジリ貧の首相を「今のままでは、ただ高そうな背広を着ているおじさんで終わる」とバッサリ。一方的に首相退陣を勧告し、衆院解散・総選挙を迫った。麻生首相は相手にせず、淡々とした答弁で“真紀子節”をかわした。
真紀子氏が猛犬のごとく襲いかかった。
まずは人一倍、スーツにこだわりを持つ首相をつかまえて「いつも仕立ての良い背広を着ておられるのですから、中身の方も即刻潔い引退を表明される方がよろしいと存じます」と首相退陣を勧告。間髪入れずに「それが本当のスタイリッシュなダンディー。今のままではただ高そうな背広を着ているおじさんのままで終わる」と皮肉った。麻生首相は薄ら笑いを浮かべるだけだった。
与党と対決姿勢を強める民主党は、28日の首相の施政方針演説に対する代表質問という見せ場に、統一会派を組む無所属の田中氏を“刺客”に送り込んだ。
“真紀子節”は止まらない。首相の施政方針演説を「各省庁持ち寄りの寄せ木細工のよう。空疎な言葉の壮大な羅列だ」とバッサリ。質問ではパレスチナ情勢や北朝鮮の拉致問題などを触れたが、「安心」「活力」を訴える首相の政治姿勢を「あなたは楽観的すぎで、いつもはぐらかしてばかり」と痛烈に批判した。
主戦場の委員会での質問と違い、本会議場での代表質問とあって、毒舌ぶりは普段より多少ソフトだったが、真紀子節が飛び出すたびに議場内には怒号やヤジが飛び交った。
味方のフォローも忘れなかった。真紀子氏は「日本国民は政治に温かさ、安心を求めている」と蜜月の民主党・小沢一郎代表(66)を持ち上げた。「民主党に政権を委ねたいとの声が日本全国津々浦々に満ち満ちている」と早くも勝利宣言。「このことは嫌でも麻生総理のお耳に達しているはず」とやり込めた。
再三の挑発に麻生首相は個別の政策について淡々と答弁。真紀子氏がしつこく迫った衆院解散・総選挙には一言も触れず、無視する形となった。一方で、自民党の細田博之幹事長(64)の質問に答える形で、批判が多い官僚OBが天下りを繰り返す「渡り」について、自らの在任中は全面禁止することを初めて明言した。
先週末に代表質問が決まった後から質問を練り込んできた。質問後、真紀子氏は「相変わらず、訳の分からない、決まり切ったことしか言っていない定番メニューの回答でした」と実りがない論戦に不満を口にしながらも、その表情は勝者のようだった。
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