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2009年01月30日(金) 06時44分

地上げ脱税容疑の元社長、赤字会社と収入折半の契約書読売新聞

 東京・渋谷の地上げを巡る脱税事件で、法人税法違反容疑で逮捕された不動産会社「カーロ・ファクトリー」(現テールトゥシエル)の元社長・遠藤修容疑者(48)が、別に経営していた赤字の会社「ル・マン商会」とカーロ社の間で収入を折半する内容の契約書を作成していたことが関係者の話でわかった。

 ル・マン商会には営業実態がなかったが、遠藤容疑者は契約書を根拠に、報酬の半額を同商会に付け替え、同商会の累積赤字と相殺させて所得を圧縮していたとみられる。契約書は同商会に実態があるように見せかける脱税工作の一環だった疑いもあり、東京地検特捜部は作成経緯などを調べる。

 同社関係者などによると、遠藤容疑者が「カーロ社とル・マン商会は協力関係にあり、共同事業を行った場合は収入を分配する」とする契約書を作成したのは数年前。脱税事件の舞台となった渋谷区内の地上げで、2006年春に住宅販売会社から手数料約80億円を受け取った際には、同商会に直接振り込ませたり、カーロ社から外注費を支払った形にしたりして、約40億円をル・マン商会の収入に計上したという。

 遠藤容疑者は同商会の所得を大幅に圧縮し、カーロ社については一部申告していたとみられる。カーロ社に入った約40億円も当時、渋谷の後に進めた神奈川県大磯町の工場跡地買収の資金に回してしまい、納税しなかった。

 都内の別の土地開発を巡る民事訴訟の東京地裁判決によると、ル・マン商会は約10年前に2回目の不渡りを出して事実上倒産、共同事業の契約書の内容も虚偽だった疑いが出ている。

 遠藤容疑者は周辺関係者に「大磯の地上げの際、予定していた融資が受けられず、やむなくカーロ社の約40億円を投じた。ル・マン商会は実際に仕事をしており、分配金を受け取るのは問題ない」と説明していたという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090130-OYT1T00021.htm?from=navr