2009年01月30日(金) 20時03分
<ヤミ金心中>取り立て役らに4800万円賠償命令 大阪(毎日新聞)
大阪府八尾市の夫婦ら3人が03年6月、ヤミ金融業者の取り立てを苦に心中した事件で、遺族がヤミ金グループの元リーダー、川口高弘受刑者(36)=出資法違反罪で実刑=と取り立て実行役ら計8人に慰謝料など約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。高橋文清裁判長は、3人のうち夫婦の自殺について「過酷な恐喝行為との因果関係が認められる」と判断し、グループ8人全員に計約4800万円の賠償を命じた。
遺族側の植田勝博弁護団長は「ヤミ金に対し、自殺の責任を負うべきことを示した画期的判決」と評価した。
判決によると、グループの実行班は03年4月、主婦(当時69歳)に約3万円を貸し付け、1週間後に同額の返済を受けたが、違法な金利を請求。執拗(しつよう)に「どんなことをしてでもすぐに金を作れ」「団地中に電話してそこに住めないようにするぞ」などと脅迫した。
主婦は「これ以上払えと言われたら死ぬしかありません」と懇願したが、現金の振り込みを要求された。主婦は夫(同61歳)と兄(同81歳)とともに03年6月に踏切で自殺するまで、計33万7000円を払わされた。
判決は、主婦が社会福祉事務所や警察官に送った遺書に「悪徳業者に追いつめられ死ぬことにしました」「一日も早く逮捕してくださいね」などと書かれていた点を踏まえ、「恐喝以外に自殺の要因はなかった」と認定。さらに、グループのメンバーが「取り立てが顧客を精神的に追いつめることを認識していた」として、自殺と恐喝行為に因果関係があったと結論付けた。
また、判決は川口受刑者を、実行班責任者の男=恐喝容疑で指名手配中=へ指揮命令していた「統括者」と認め、使用者責任があると判断した。【川辺康広】
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