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2009年01月30日(金) 20時14分

警察問題のトークイベント【阿佐ヶ谷】ツカサネット新聞

トークイベント「対決!! 公安 VS 右翼 〜北芝健と鈴木邦男の邂逅」が2008年1月22日、阿佐ヶ谷ロフトA(杉並区阿佐谷南)にて開催された。北芝健氏、鈴木邦男氏、寺澤有氏という多彩な顔ぶれが出演したイベントである。

北芝氏は元警視庁刑事で、公安に所属したこともあるという。現在は犯罪学者や作家として活動している。鈴木氏は右翼団体・一水会顧問である。警察から朝日新聞社支局などに対するテロ事件・赤報隊事件の容疑者リストとして実名公表されたことがある。また、雑誌「SPA!」の連載で赤報隊に触れた際は家宅捜索を受けており、警察には因縁がある。寺澤氏は警察批判で名を馳せたジャーナリストである。対極に位置する人々が一堂に会するだけでも興味が湧く。

最初は司会の御堂岡啓昭氏と北芝氏の雑談で幕を開けた。北芝氏は飲み物にアイスティーの氷抜きを注文し、急激に熱いものや冷たいものは健康に悪いとアンチエイジングの知識を披露した。また、アフガニスタン旅行について話した。この内容は著書『やんちゃ、刑事。』で詳しく紹介されている。

この後に鈴木氏と寺澤氏が登場し、本論に入る。向かって右端から御堂岡氏、北芝氏、鈴木氏、寺澤氏が座った。鈴木氏と北芝氏は早稲田大学の先輩後輩の関係にある。また、寺澤氏と御堂岡氏は同じ中央大学出身である。

まず、北芝氏が警察から見た右翼について発言した。既成右翼は9割くらいが暴力団である。地上げや総会屋などで資金を得ている。それとは別に鈴木氏の一水会のような民族派右翼があるとする。赤報隊事件で警察が鈴木氏を敵視したことについては、「公安はストレスがたまっている。(鈴木さんと)友達になればいいのに」と発言した。

これを受けて鈴木氏も「警察も日頃は一緒に会って酒を飲んでいる、女遊びもしている。新左翼への対応とは全然違う」と応じた。

寺澤氏は警視庁蔵前署による拳銃押収でっちあげ事件の取材中に警視庁公安総務課から尾行された経験を紹介した。東京の自宅から取材先の福島県までライトバンで尾行されたため、朝日新聞福島支局に駆け込み、支局員にライトバンの写真を撮影してもらった。公安捜査員の取材妨害に対し、寺澤氏は国家賠償を求めて提訴したが、警察側はオウム真理教捜査の一環と言い張ったという。

この国賠訴訟は御堂岡氏と寺澤氏の接点にもなっている。裁判を傍聴した御堂岡氏は寺澤氏と面識を有することになる。2007年のインターネット掲示板「2ちゃんねる」の閉鎖騒動に際しては、「2ちゃんねる」閉鎖を狙う側が対「2ちゃんねる」訴訟に訴訟した経験のある寺澤氏に接触した。これに対し、御堂岡氏は「彼らは詐欺師だから」と説明したという。

休憩を挟んだ後半にはゲストとして石原伸司氏が登場した。石原氏は元暴力団組長で、現在は作家である。繁華街に立って少年少女の構成に尽力しているため、夜回り組長の異名を持つ。石原氏は警視庁小岩警察署で留置中に酒食を供された厚遇ぶりを語った。暴力団組長を懐柔して情報を取ることが警察の目的であったのだろうと石原氏は推測する。これは写真週刊誌に掲載され、国会で取り上げられるほどの問題に発展した。

他には選挙違反の冤罪事件である志布志事件やロス疑惑の三浦和義元会社社長の自殺、中央大学教授刺殺事件などの事件について興味深い発言がなされた。最後は出席者から出演者に対する質問コーナーにあてられた。国松警察庁長官狙撃事件や元厚生次官宅連続襲撃事件などについて質問された。

記者は東急コンツェルンが暴力団に乗っ取られそうになった背景について、北芝氏に質問した。これは北芝氏が著書『警察裏物語』で指摘していた内容であり、詳しく知りいと思っていたものである。北芝氏によると、東急の脇の甘さや創業家である五島家の付き合いの派手さが暴力団に付け込まれる要因となったという。

バックグランドや思想が異なる人達により突っ込んだ議論がなされ、有意義なイベントであった。


(記者:林田 力)

■写真
写真撮影:林田 力記者

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