総務省は二十九日、公立病院を抱える地方自治体向けの二〇〇九年度地方交付税による財政支援の概要を決めた。産科や小児科の深刻な医師不足の解消に向け、現行で周産期医療に一床当たり二百四十四万円を配分している特別交付税を三百五十五万円に、小児医療は九十六万円を百三十五万円に、それぞれ四割以上増額する。
過疎地の公立病院に対しては、「同じ市町村内に民間も含め病院が一つしかない」などとしている不採算地区の要件を緩和し、支援対象を拡大。現行で一床当たり六十八万円を配分している特別交付税について(1)最も近い別の病院まで十五キロ以上離れている場合は百二十万円(2)その他の地域で人口密度が一平方キロ当たり四千人未満は八十万円—に引き上げる。
これとは別に、すべての公立病院に一床当たり四十八万円を配分している普通交付税を約二割増額し、五十九万円とする。救急病院に対しては、普通交付税として全国ベースで約三百億円を見積もり、配分の算定基準は今後検討する。
これらの見直しにより、公立病院向けの財政支援は特別交付税、普通交付税合わせて〇八年度の二千九百三十億円から約七百億円上積みされる。
全国九百五十三カ所の公立病院の〇七年度決算は、医師不足などの影響で七割以上が赤字。自治体側は、勤務条件が過酷な産科、小児科、救急医療などの待遇改善による医師確保に向け、交付税の増額を求めていた。