全国の電力十社と大手都市ガス四社は二十九日、原・燃料費の変動に伴う四月の料金調整額を発表した。原油価格の急落で七社が値下げとなる一方、原油以外の原・燃料の比率が高い五社は値上げ、二社が据え置きになり、地域によって料金変動はばらついた。
値下げする電力会社は北海道(標準家庭への影響額二百三十四円)、東北(七十三円)、東京(百四十五円)、北陸(百五十九円)、四国(百三円)、沖縄(二百六十七円)。東電は一年九カ月ぶり、その他の社は二年ぶりの値下げ。関西、中国電力は据え置きで、値上げは中部(百三十八円)、九州電力(九十九円)。ガス会社は東京(四十一円)、大阪(六十二円)、東邦(二十七円)が値上げで、値下げは西部ガス(十九円)。
電気・ガス料金は三カ月ごとに原・燃料の調達価格を自動的に加味して調整する制度があり、今回は昨年十—十二月の燃料価格を反映。原油の平均価格は一キロリットル当たり四万七千七百七十一円で、七—九月の八万七千七百七十六円から大きく下落した。
原油に比べて値下がり幅が小さかった石炭や液化天然ガス(LNG)を多く使っている電力会社は、原油価格急落の影響が小さく、値下げにならなかった。
また、各社とも現行の一—三月の料金は国の要請で本来より安く抑えており、その圧縮分を四月以降に転嫁する。各電力、ガス会社によって転嫁額が異なることも変動額の差に表れた。
次回の調整は、従来の制度だと七月だが、原・燃料価格をより素早く料金に反映させる新制度が始まるため、五月に再び料金改定される。経済産業省が昨年十二月に明らかにした試算では、電力・ガス各社とも四月に比べ数百円程度値下がりする見通しになっている。