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2009年01月29日(木) 15時13分

振り込め詐欺 「手渡し」被害急増 2月、再び撲滅月間毎日新聞

 振り込め詐欺の被害が、昨年10月の撲滅月間より前の水準に再び拡大していることが分かった。全国最多の被害発生地である東京都内では、今月中旬以降の認知件数が1日約10件にのぼり、それまでの1日5件未満から急増した。背景には、振り込めに代わる「手渡し」詐欺の増加と、高齢者らに対する金融機関の「声かけ率」の減少などがあり、警視庁は2月を再度、撲滅月間に指定し、昨年10月の被害の半減を目指す。

 昨年、振り込め詐欺の都内での認知件数は3月の513件をピークに9月までは200件を超えていた。しかし「撲滅月間」としてATM(現金自動受払機)周辺に警察官を大量配置した10月、初めて200件を割り込んだ。以降の月はいずれも150件以下となった。

 しかし、今年に入って、今月28日現在では計105件にとどまっているものの、中旬以降に認知件数が急増したという。

 捜査関係者によると、オレオレ詐欺で被害者宅に現金を受け取りに来る手法が昨年10月以降、目立って増えている。さらに、現金を受け取る「受け子」が詐欺グループの中核メンバーからアルバイトに替わり、グループ摘発の難しさが増しているという。

 警視庁によると、認知件数に占める手渡し詐欺の割合は昨年7月以前は5%以下だったのが、同10月以降は20%を超え、今月(19日現在)は約33%。警察庁の資料でも昨年3〜6月は手渡しは1.3%だったが、同12月は12%にはねあがった。

 一方、警視庁が金融機関を利用したオレオレ詐欺・還付金詐欺の被害者から聞き取り調査したところ、「振り込め詐欺ではないですか」などという職員の声かけ率が、昨年11月の49%から今月は21%に落ち込んでいた。

 警視庁幹部は「不況の影響で、架空名義の口座など犯罪ツールの価格も下落しており、詐欺グループには追い風が吹いている」と警戒している。

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