記事登録
2009年01月29日(木) 00時00分

ロシアに早期解放要求 漁船拿捕で政府中国新聞

 鳥取県沖の日本海でカニかご漁船第38吉丸よしまる(一二二トン、安藤正史あんどう・まさふみ船長ら十人乗り組み)がロシア当局に拿捕だほされた問題で、河村建夫官房長官は二十八日の記者会見で「乗組員の健康状態に問題はない。人道的観点から早期解放を求めた」と述べた。

 河村官房長官によると、ロシア側は第38吉丸が排他的経済水域(EEZ)内で違法操業したと主張している。

 船は同日夕、ナホトカに到着。ロシア極東沿海地方の国境警備当局者によると、二十九日朝に乗組員らから事情聴取し、密漁容疑の捜査を開始する予定。在ウラジオストク日本総領事館は二十八日、ナホトカに職員を派遣したことを明らかにした。

 船を所有する鳥取県境港市の水産加工会社「日吉水産」の岩田慎介いわた・しんすけ社長は同日午後、記者会見し「銃を持った警備員六人に乗り込まれた」と拿捕当時の状況を説明。「ロシア側で操業した事実はない。船と船員の速やかな返還を」と訴えた。

 鳥取県水産課によると、拿捕されたのは境港市の北約四百八十キロの「北大和堆やまとたい」と呼ばれる水域。第38吉丸は漁を終えて停泊中、ロシア側のEEZに入ってしまったことに気づき、戻ろうとした際に臨検を受けた。

 ロシアの国境警備当局者によると、EEZ内で第38吉丸を臨検しカニを発見。船長は漁獲許可の書類を提示できなかったため、密漁の疑いがあるとして連行したという。

 第38吉丸は二十四日午前十時ごろに境港を出港。操業は一週間の予定だった。乗組員は二十—六十代で鳥取県のほか島根県の人もいるという。

 一方、鳥取県は二十八日午前、関係者を集めて対策会議を開催。外務省や水産庁などと連絡を取り合い、情報収集に努めていくことを確認した。県水産局長や岩田社長が二十九日、関係省庁を訪れ早期解決を要望する。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901290142.html