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2009年01月29日(木) 02時41分

タクシー強殺、軍手から被害者の血液 大阪・松原事件産経新聞

 大阪府東大阪、松原両市でタクシー運転手が相次いで殺傷された事件で、松原事件の現場付近で発見された軍手に付着していた血液が、重傷を負ったタクシー運転手、野澤俊樹さん(61)のものと一致したことが28日、府警捜査1課の調べでわかった。府警は両事件を同一犯による犯行とみているが、軍手は犯行に使用されたものと断定し、犯人につながるDNA型の検出などさらに詳細な鑑定を進めている。

 タクシー運転手を狙った強盗殺人事件は、兵庫県稲美町で昨年12月29日未明に運転手の永田三郎さん(54)が、東大阪市でも同日深夜、後藤利晴さん(67)が殺害されてから29日で1カ月を迎える。兵庫、大阪両府県警はそれぞれ、捜査とともに防犯対策の強化などにも乗り出している。

 府警によると、軍手は1月5日未明、野澤さんが襲われた松原市三宅中の現場近くの路上で血が付いた状態で片方ずつ発見。野澤さんは首を切りつけられながらも抵抗しており、軍手に男の皮膚片や汗などが付着している可能性が高いとみられている。

 東大阪、松原両事件は、首を切りつける手口や、最後の客が大阪市平野区から乗り込んだことなどが一致。しかし、現場がいずれも夜間は人通りが途絶える工場地帯で目撃者がおらず、遺留物も少なく車内には不審な指紋もなかった。

 東大阪事件では車内に布のようなもので血をぬぐった跡が確認されており、犯人が松原事件と同様に手袋を着用して犯行に及んだとみられている。

 これらのことから府警は、軍手が唯一の有力な物証と判断し、詳しく鑑定。さらに両事件での犯人の逃走ルートなどの特定も急いでいる。

 一方、兵庫県警の加古川署捜査本部は、これまでに不審者情報など十数件を把握しているが、いずれも犯人に直結するものはないという。殺害された永田さんが勤務していた「加古川タクシー」(同県加古川市)は、防犯訓練や防犯設備の充実を推進。同社幹部は「事件から1カ月がたっても不安は消えず、夜間の乗務を避ける運転手もいる。費用はかかっても会社としてできる限りの安全対策を取っていきたい」と話している。

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