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2009年01月29日(木) 00時00分

世界の失業2億3000万人 09年、ILO推計中国新聞

 【ダボス(スイス東部)28日共同=新井琢也】国際労働機関(ILO)は二十八日、金融危機に伴う世界経済の急速な悪化で、二〇〇九年の世界の失業者数が最悪の場合、二億三千万人と初めて二億人の大台を突破する可能性があると予測した年次報告をまとめた。失業者数は〇八年の実績見込みから一気に最大四千万人も増える計算で、今年の失業率は7・1%と比較可能な一九九一年以降で最悪になるとした。

 雇用情勢の急激な悪化は、個人消費の減退などを通じて世界の成長を一段と圧迫。社会不安を高める恐れがある。

 報告書は金融危機について「経済のあらゆる分野に重大な影響を与えている」と指摘。世界経済の急速な悪化が「雇用危機」を招きつつあるとの認識を示したうえで、先進各国の景気刺激策には「雇用増についての明確な目標を盛り込むことが重要だ」と指摘した。

 〇八年の失業者実績見込みは、前年比約一千万人増の約一億九千万人と四年ぶりに増加した。

 ILOは〇九年の雇用情勢について、昨年十一月時点の国際通貨基金(IMF)による世界経済見通しに基づく予測値に加え、さらに景気が悪化した場合など計三つのシナリオを提示した。

 最悪シナリオの場合、先進国の失業率は〇八年の6・4%から7・9%へ上昇、失業者数は四千万人へ八百万人増加する。途上国地域のうち東アジアでは、失業者数が四千六百万人と千四百万人も増加。地域別で最大の失業増を見込んだ。

 世界の失業率は、最善のシナリオでも6・1%と〇八年の実績見込み(6・0%)を上回る。「より現実的」とする二つ目のシナリオでは6・5%に上昇、この場合の失業者数でも二億一千万人に達すると予測した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901290122.html