【ロサンゼルス=飯田達人】米カリフォルニア州で、サンフランシスコやロサンゼルスなどを最高時速350キロで結ぶ高速鉄道が実現に向けて動き出している。
州住民投票で建設費の一部となる州債の発行が承認されたことや、オバマ政権が環境分野の公共事業への投資を重視していることも受けて、日本の新幹線など各国による売り込み合戦が本格化し始めている。
「新幹線は車や航空機に比べ、1人当たりの温室効果ガス排出量が圧倒的に少なく、地球に最もやさしい」
ロサンゼルスで26日に開かれた環境国際会議で、JR東海の葛西敬之会長が熱弁をふるった。ライバルとなる仏高速鉄道TGVなど欧州勢を意識し、「欧州の高速鉄道に比べ、新幹線は車体が軽く、安全性、耐震性にも優れている」と、世界に誇る新幹線技術を強くアピールした。
カリフォルニア州は2010年春までに採用する運行システムを決め、11年にも着工する。20年までの1期工事で、サンフランシスコとロス南部のアナハイムまでの750キロを開通させ、約3時間で結ぶ予定だ。さらに、30年までの2期工事で、北は州都サクラメント、南はサンディエゴまで延ばす計画だ。
1期工事の総工費約330億ドル(約2兆9000億円)のうち、99億5000万ドル(約9000億円)を州債発行で賄うことが昨年11月の住民投票で決まった。
同州は都市間輸送の96%を車に頼り、4%は航空機で、鉄道は1%にも満たない。環境対策に熱心なアーノルド・シュワルツェネッガー知事は「大気汚染が改善され、道路の渋滞も減る」と特に建設に意欲的だ。
不況の影響で同州財政は極めて厳しい状況にあるが、オバマ大統領が環境に貢献する公共工事に予算を重点配分する意向を示しており、州は連邦政府からの手厚い支援に期待を寄せている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090128-945707/news/20090129-OYT1T00637.htm