都はDV問題をどのように受け止め、対策に取り組んでいるのか。都民生活部男女平等参画室の臼井きく子室長に聞いた。
——被害者に対する支援内容は。
「都の場合、東京ウィメンズプラザと都女性相談センターを支援の拠点と位置づけ、様々な相談に乗っている。必要に応じて一時保護も行っている。就労や住宅の確保、子どもの教育などの課題に対し、被害者の視点に立って支援していくことが重要であり、関係機関がうまく連携して身近な地域で切れ目のない支援を受けられるようにしていかなければならない。例えば、被害者の中には、精神的ショックから就労しようという気持ちになれない人も多いため、今後は精神的なケアをしながら、就労支援の専門機関との連携を強化して講座を実施していきたい」
——被害者の自立に向けた経済支援を拡充してほしいという声がある。
「経済支援としては生活保護の制度があり、主に担当している区市の福祉事務所などとの連携を強化し、きめ細かい支援を行っていく。住まいについては、福祉施設を利用できる場合もあるし、都営住宅の入居に際しての優遇措置もある」
——加害者対策についてはどうか。
「加害者対策は進んでいないのが現状。日本では更生プログラムについて法律で定められていないため、加害者自身が自発的に問題と向き合わなければならない。ただ、加害者からの相談も受け付けているので、希望があればプログラムを実施している民間機関を紹介している」
——民間シェルターの役割についてどう考えるか。支援の現状は。
「被害者支援には、関係機関のネットワークが欠かせない。その点で民間シェルターは非常に重要。都の一時保護所の対応人数にも限界があり、また行政の施設よりも民間の方がいいという人もいる。都では2006年度から、シェルター施設の安全対策などに、100万円を限度に経費の半分を負担する制度を設けた。2年間で延べ23団体が制度を利用した。多くの団体に応募してほしい」
——改正DV防止法のポイントは。
「保護命令制度が拡充された点と、区市町村に対して、配偶者暴力対策基本計画の策定と、相談窓口となる『相談支援センター』としての機能の整備が努力義務となったこと。区市町村との関係をより緊密にしていきたい」
——被害を受けた場合、どうすればよいか。
「一人で悩まないで、まずは相談することが大切。困っている内容に応じて対応するので、相談窓口を活用してほしい」