ワシントン発——読者が利用しているインターネットプロバイダは、読者のネットワークトラフィックに干渉してはいないだろうか?ネット中立性の原則に反するようなことはしていないだろうか?Googleは、同社と目的を共有する人々とともに、初期的な警告システムに相当するものを開発した。
「Measurement Lab(M-Lab)」と呼ばれるこの活動の背景にある考えは、一般消費者、規制団体、コンテンツプロバイダーなど、インターネット規制に関心を抱くすべての人々が、自分のネットワーク性能に関するさらなる詳細情報を利用できるべきだというものである。Google、米民主党系の新アメリカ財団(New America Foundation)、およびPlanetLab Consortium(次世代ネットワークを専門とする大学と企業からなる団体)は米国時間1月28日、M-Labを発表した。
M-Labをこの時期に発表したのは、おそらく偶然ではないだろう。ワシントンにおけるGoogleとブロードバンドプロバイダーとの間のネット中立性に関する対立が再び激化するとすれば、M-Labはその対立に特に関連性の深いものとなるかもしれないからだ。民主党議員らの主張が通り、いわゆる緊急経済対策と呼ばれるものが法律化されれば、一部のブロードバンドおよびワイヤレスネットワークに対する「オープンアクセス」規則を定義し、施行することが米連邦規制団体に求められることになる。2007年に発覚したComcastがBitTorrentのトラフィックを抑制していたという事件は、いつネットワークプロバイダーが干渉していると判断するのかが困難であることを示している。
M-Labは、研究者らがインターネット測定ツールを導入し、データを共有することを可能とすることにより、ネットワークアクティビティをこれまで以上に透明化することを目的とする。同プラットフォームは28日、同プロジェクト専用の3台のGoogleサーバにより活動を開始した。Googleは6カ月以内に、世界各地の12カ所に36台のサーバを研究者向けに提供する予定である。収集したデータはすべて公開される予定だ。
新アメリカ財団の「Wireless Future Program」の調査ディレクターであるSascha Meinrath氏は、M-Labにおける同団体の役割は、収集されたデータを、政治家らにとって意味のある、理解可能な情報に変換することであると述べた。M-Labの発足者らや支持者らは、当地にある新アメリカ財団本社において集まった聴衆に対し、さらなる情報が得られれば、すべての人々の観点からよりよい政策が立案されることになると述べた。
コンピュータサイエンスと広報を専門とするプリンストン大学の教授で、Center for Information Policyのディレクターを務めるEd Felten氏は、「ネット中立性に対してどのような意見を持っている人でも、M-Labのようなものが構築されたことを歓迎するはずだと私は主張したい」と述べた。
M-Labが現在のところ提供するのは、消費者向け診断ツール3種類となる。これらのツールは、BitTorrentの妨害や抑制の検知、ラストマイルのブロードバンドネットワークに影響する問題の診断、速度を制限する問題の診断などを実施する。(CNET Japan)