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2009年01月28日(水) 06時02分

担任が生徒23人の指紋採取…メモリーカード盗難疑いスポーツ報知

 三重県四日市市の私立海星高校で、1年生の男子生徒から「携帯のメモリーカードを盗まれた」と相談を受けた担任の男性教諭(57)が、自身のクラスの生徒を疑って23人から指紋を採り「警察に届ける」と話していたことが27日、分かった。西田秀樹校長は「人権、人道上あってはならない不適切な行為だった」として、生徒らに謝罪、男性教諭の処分を検討している。

 校長や海星高校職員によると、男性教諭は21日、4限目の授業が終わり、昼食後の昼休みに、生徒から「柔道場での体育の時間後、携帯電話のメモリーカードがなくなった」と相談を受けた。

 同校は男子校で、男性教諭のクラスは21日の3限目に、学内にある武道館の柔道場で、クラスの27人全員が参加し、柔道の授業を行っていた。授業開始前、生徒らは教室で貴重品袋に携帯電話や財布を集め、その袋をクラスの代表者が持って柔道場に移動、授業中は場内に置いていたという。

 相談を受けた男性教諭は、クラス内の盗難を疑い、授業終了後のホームルームで「(メモリーカードの行方を)誰か知らないか?」と呼びかけたものの、名乗り出た生徒はなし。そのため今度は生徒らに紙を配布、目撃情報や「自身が盗んだ」との告白を書くよう促したが、メモリーカード発見につながるような記述はなかった。

 すると男性教諭は生徒らに「『調べれば分かるんだぞ』というニュアンスのこと」(同校職員)を言い、出席番号を書いた紙に、自身が普段使っている赤いインクで指紋を押させた。過去に反省文を書かせた際、印鑑代わりに母印を押させた4人をのぞく23人から、指紋を採取したという。

 教諭は実際には盗難事件として警察に届けず、指紋を押した紙も自分で保管。教諭は「メモリーカードの盗難は個人情報の問題につながる」と解決を急いだ結果、「指紋を採るほど重大なことと分からせれば、盗んだ生徒も名乗り出てくれるはずと信じた」と理由を説明しているという。

 同校は、投書を受けた新聞社からの問い合わせで、26日に事実を把握。男性教諭は同日、生徒らに謝罪した。30年以上前から同校で教壇に立ってきたベテランの数学教師で「温厚で、大声をあげることもしない先生」。メモリーカードは今も見つかっていない。

 同校はカトリック系の学校。かつては硬式野球の強豪として知られ、夏の甲子園にも11回出場したが、99年センバツを最後に遠ざかっている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090128-OHT1T00099.htm