浜田靖一防衛相は二十八日午前、斎藤隆統合幕僚長らに対し、ソマリア沖海賊被害対策として現行の自衛隊法に基づく海上警備行動で海上自衛隊部隊を派遣するための準備に入るよう指示した。これを受け防衛省は海自艦に加え、P3C哨戒機も派遣する方向で検討に入った。同時に、部隊派遣に向けた調査団を来月上旬にジブチなどソマリア周辺国へ派遣する方針を固めた。
一カ月余りの準備期間を経て、浜田氏が正式に派遣命令を出す。現場海域で海自艦が活動するのは三月下旬以降になる見通しだ。
政府は準備指示に先立って開いた安全保障会議で、派遣方針を確認。浜田氏は準備指示の際「海賊は日本を含む国際社会への脅威で、早急に対応すべき課題だ」と指摘。この後、記者団に「海上警備行動は新法整備までの応急措置。自衛隊による海賊対処は新法整備が基本だ」と述べ、海賊対策で自衛隊の派遣を随時可能とする新法制定の必要性を強調した。
政府、与党は新法案の三月上旬の国会提出を目指すが、武器使用基準の緩和に公明党や野党から異論が出る可能性もある。
一方、P3Cは海賊船の動きを監視して海自艦に知らせ、日本関連船舶の護衛を側面支援する。海上警備行動で海自艦が護衛の対象とするのは日本関連船舶だけで、外国船は対象外。このため、国際協調の面で問題との指摘があり、P3Cで得た情報を各国軍艦に提供することで、批判をかわす狙いもありそうだ。
P3Cの拠点はソマリア隣国のジブチを想定。ここには欧州連合(EU)部隊の拠点がある。調査団の訪問先はジブチのほか、周辺のイエメン、オマーンが候補で、海自艦の補給基地を探る。
防衛省は準備期間内に警察庁、海上保安庁と連携し、正当防衛、緊急避難に危害攻撃が限定される武器使用基準を策定。どの段階で警告射撃、危害を与える射撃が可能かが課題となりそうだ。