2009年01月28日(水) 16時28分
首相施政方針演説 景気対策のち増税 国づくり「逃げない」(産経新聞)
麻生太郎首相は28日午後の衆院本会議で初の施政方針演説を行った。日本が目指すべきは「安心と活力ある社会」と説き、当面は「生活や雇用を守ること」に重点を置いた景気対策に取り組み、平成21年度予算案の早期執行が必要だと訴えた。一方で「大胆な財政出動を行うからには、財政への責任を明確にしなければならない」とも述べ、消費税率引き上げを含む税制抜本改革の実施に向け「平成23年度までに必要な法制上の措置を講じる」と改めて表明した。
冒頭では、日本が世界に果たす役割として、今年が東西冷戦終結の象徴となった「ベルリンの壁」の崩壊から20年になることを念頭に「新しい秩序づくりへの貢献」を掲げた。世界的な金融危機には「危機はチャンス」でもあり「世界経済の新しいルールづくりに積極的に貢献しなければならない」と呼びかけた。
国内課題では、政府の役割は「『官から民へ』といったスローガンや、『大きな政府か小さな政府か』といった発想だけでは、あるべき姿は見えない」と指摘し「景気回復と政府の改革を進めた上で、国民に必要な負担を求める」と「中福祉・中負担」を目指す考えを示した。消費税率引き上げの環境整備として「23年度に向けて景気が回復するよう、全力を尽くす」とも表明した。
国内課題に取り組むにあたり「変革には痛みが伴うが、恐れてはならない。良き伝統を守り発展させるために改革することが、私の目指す真の保守だ」と訴えた。
米国とは「オバマ大統領とともに、同盟関係をさらに強化する」、ロシアとは「領土問題の最終的決着に向けた交渉を進める」とそれぞれ表明。北朝鮮には「すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現に向け、早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう、具体的な行動を強く求める」と述べた。
外相時代に掲げた「自由と繁栄の弧」にも触れ、日本と同じ民主主義の価値観を有する途上国への積極的な支援を表明した。ソマリア周辺での海賊対策には「実行可能な対策を早急に講じ、新たな法制の整備を検討する」と語った。
最後に、国会運営に関し「野党にも良い案があるなら大いに議論したいが、いたずらに結論を先送りする余裕はない」と、民主党を牽制(けんせい)。「新たな国づくりに全力を傾注する。私は決して逃げない」と、政権を途中で投げ出すことはしないとの決意を示した。
首相は、引き続き開かれる参院本会議でも施政方針演説を行う。
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【施政方針演説の骨子】
一、日本が果たすべきは「新しい秩序づくりへの貢献」、目指すべきは「安心と活力ある社会」
一、まず急ぐべきは景気対策。平成21年度予算案は「生活防衛のための大胆な実行予算」
一、消費税を含む税制抜本改革を行うため、経済情勢の好転を前提に23年度までに必要な法整備を措置
一、米国とはオバマ大統領とともに同盟関係を強化。北朝鮮に拉致被害者調査の全面的やり直しを要求
一、ソマリア沖海賊対策で新法整備
一、国民が望むのは迅速に結論を出す政治。自公連立政権の基盤に立ち、新たな国づくりに全力を傾注
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090128-00000102-san-pol