2009年01月28日(水) 13時18分
消費税上げ、「不断の行革」前提に…首相が施政方針演説(読売新聞)
麻生首相は28日午後、衆参両院の本会議で、就任後初の施政方針演説を行い、景気回復に向けて全力を挙げる決意を表明した。
2011年度からの消費税率引き上げの必要性を訴え、中福祉・中負担の「安心と活力ある社会」をめざす方針を打ち出した。
経済政策では、「大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出することを目指す」と強調。100年に1度とされる世界的な金融危機について、「異常な経済には、異例な対応が必要」として、09年度予算案など総額75兆円規模の経済対策を着実に進めることの重要性を訴えた。「不況から脱出するためにも、予算及び関連法案を早急に成立させることが必要だ」と、野党に協力を要請。雇用対策では、4000億円の雇用創出基金を創設し、3年間で160万人の雇用を目指す方針を掲げた。
また、「市場に委ねればすべてが良くなる、というものではない」と指摘。「政府の重点を生活者の支援へと移す」と述べ、小泉元首相が進めた構造改革路線からの事実上の転換を宣言した。
国民負担をめぐっては、「大胆な財政出動を行うからには、財政に対する責任を明確にしなければならない」との考えに立ち、「必要な負担を求める」と明言。「消費税を含む税制抜本改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講じる」として、11年度からの消費税率引き上げに改めて意欲を示した。国民負担の増大を求める前提として、「不断の行政改革」を掲げ、12年までに取り組む公務員制度改革全体の「工程表」を策定したうえで、改革を前倒しで実行し、省庁による「天下り」の「押しつけ的あっせん」の根絶を約束した。
一方、外交政策では、米国のオバマ大統領と共に日米関係を強化し、金融危機のほか、気候変動といった地球規模の課題に連携して取り組む考えを表明。アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に関しては、「実行可能な対策を早急に講じ、新たな法制の整備を検討する」と強調。日本が「新しい秩序創りへの貢献」を果たすと訴えた。
◆施政方針演説の骨子◆
▽世界で新しい秩序創りへの貢献、国内で安心と活力ある社会を目指す
▽大胆な対策で、世界で最初に不況から脱出
▽3年間で160万人の雇用創出
▽2011年度までに消費税を含む税制抜本改革に法制上の措置を講じる
▽公務員制度改革の工程表策定、前倒し実行。天下りなど押しつけ的あっせんの根絶
▽ソマリア周辺海賊に対する新法整備の検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090128-00000029-yom-pol