文化審議会国語分科会は二十七日、社会生活で使う目安となる常用漢字表に新たに「岡」「俺」など百九十一字を追加し、「匁」「錘」など五字を削除する新常用漢字表(仮称)の試案を審議し、了承した。三月と秋ごろにそれぞれ意見公募をし、修正を検討して来年二月の答申を目指す。
パソコンなど情報機器の急速な普及に伴う漢字の多用化を踏まえた見直しで、「鬱」といった難字や「籠」「麓」など筆画数が多い字も入れた。一九八一年告示の現行表千九百四十五字から約一割、百八十六字増え二千百三十一字になる。
現行表と同様、固有名詞にしか使われない漢字は原則除いたが、都道府県名の「茨」「埼」「阪」「岡」や近畿の「畿」、韓国の「韓」などは公共性が高いとして追加。
「挨」「拶」は熟語としての使用頻度が調査で高かったため含めた。
現行表は、部首のしんにゅうは一点に統一されているが、追加する「遡」「遜」などは、印刷物などで使われる二点しんにゅうを採用し、一点の字体も許容した。手書きでは、一点しんにゅうが一般的と注記する。
「私」を「わたし」と読ませるなど、現行表の漢字三十六字についても、音訓を追加したり、語例を変更したりした。「
案は、漢字小委員会がまとめ、常用漢字の意義を「現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」とこれまで通り定義。ただ、漢字を取り巻く環境の変化が激しくなったとし、今後は定期的な見直しが必要としている。