浜田靖一防衛相は二十七日、ソマリア沖海賊被害対策として現行の自衛隊法に基づく海上警備行動で海上自衛隊艦船を派遣するため二十八日午前に自衛隊に準備指示を出す方針を固めた。一カ月余りの準備期間を経た後、麻生太郎首相の承認を得て浜田氏が正式に派遣命令を出す運びだ。現場海域へ出発するのは早くとも三月上旬になる見通しだ。
海上警備行動による海外への自衛隊派遣は初めてとなる。
首相は既に海上警備行動による派遣の意向を表明し、浜田氏に派遣に向けた検討を進めるよう指示していた。自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長が二十七日夜、首相に海上警備行動での派遣を要請。これを受け、浜田氏も準備指示を決断した。
防衛省は準備指示後、正当防衛、緊急避難に限定されている海上警備行動での具体的な武器使用基準を策定するとともに、基準に基づく訓練や図上演習などを実施する。現場海域で海自艦が活動するのは三月下旬以降になりそうだ。海自艦には海賊の身柄確保などに備え、司法警察権を持つ海上保安官が同乗する。
両政調会長は要請に先立ち、与党政策責任者会議を開催。山口氏は政府側に対し、海自と海上保安庁の合同訓練を公開するよう要請した。
政府、与党は海上警備行動を当面の措置と位置付けている。このため海賊対策の新法案を三月上旬に国会へ提出し、成立を目指す。外国船護衛や武器使用基準を緩和する内容を新法に盛り込む方向だが、基準緩和に公明党や野党から異論が出る可能性があり、成立は見通せない。