犯罪被害者や遺族が刑事裁判に参加する「被害者参加制度」を適用したわいせつ事件の初公判が27日、広島地裁で開かれた。制度が適用された公判は広島県内初。被害女児の代わりに出廷した母親が直接、被告人質問した。
審理されたのは、2007年10月、広島市内のホテルで女児が下半身をデジタルビデオで撮影されるなどした事件。大阪市阿倍野区天王寺町、医師山中伸一被告(31)が強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われている。
公判には、女児の母親と付き添いの弁護士が出廷し、被告と向き合う検察官のそばに着席。母親と傍聴席の間は母親の意向で遮へいされた。被告人質問で、女児の母親は「(犯行後に)私たちの家の近くにいたのはなぜですか」など10項目以上を質問。被害者側の弁護士も「一生をかけて償いたい」と被告が法廷で述べた点に触れ、どう償うのかを確認していた。
次回公判で、被害者側の意見陳述、検察側の論告、弁護側の最終弁論があり結審する見通し。
被告弁護人は「感情的に非難、追及するような場面はなく、(被害者参加人は)冷静だった」と述べる一方、持ち越した意見陳述について、「感情が表面に出てくると、適正な判断ができるか一抹の不安はある」と打ち明けた。