尾道市の歴史研究グループ尾道学研究会は、1940—42年に町内会組織の長江回廊組(長江1丁目)で回覧された資料の調査を始めた。米や砂糖の配給、防火水槽の配置など戦時下の状況などを伝える二百数十枚を1年ほどかけて調べ、来年3月までに資料集を出版する。
回覧資料は、広島県や市などが町内会長や隣保班長に送った書類。ひもでとじてあり、会員で長江1丁目の電器店経営日下広(ゆたか)さん(74)が保管していた。ほとんどの書類には当時の住民13人の印鑑や署名がある。
回覧資料の調査と資料集の出版は、尾道市が「市民提案事業」に採択し、研究会に80万8000円を助成する予定だ。天野安治会長(76)は「戦時中の資料は終戦後に廃棄されたケースが多く、まとまって保存しているのは珍しい。戦時下の暮らしを知ってもらえれば」と話している。
【写真説明】<上>米の通帳制配給について、尾道市役所が1941年に出した文書 <下>戦時色が濃くなる様子を伝える回覧資料を読み、当時を振り返る天野会長