2009年01月28日(水) 00時02分
21年度予算の年度内成立に黄信号 危うい「裏約束」(産経新聞)
平成20年度第2次補正予算が27日、成立したが、麻生太郎首相の施政方針演説など政府4演説は28日に先送りされた。平成21年度予算案審議のスタートとなる4演説は、与党が当初目指した19日から1週間以上もずれ込み、21年度予算案の年度内成立に黄信号がともっている。自民党の大島理森国対委員長と民主党の山岡賢次国対委員長の水面下の交渉で、大島氏が民主党の日程引き延ばしをずるずると容認したためだ。与党内からも「民主党との裏約束を信用し過ぎると危ない」(自民党幹部)との声が出ている。(水内茂幸)
■年度内成立に不安
麻生太郎首相が景気対策で重視するのが21年度予算の年度内成立だ。衆院の予算審議は通常3〜4週間かかる。憲法60条の規定で予算は参院送付後30日で自然成立するが、それには2月中の衆院通過が必要。すでに年度内成立にはギリギリの日数だ。暫定予算に追い込まれれば、景気マインドをさらに冷え込ませ、株価も下落して国民生活に悪影響を与えかねない。
内閣支持率がさらに下がり、与党から「麻生降ろし」の声も出かねない。年度内成立を野党に容認させる代わりに衆院の「話し合い解散」論が強まる可能性がある。
■危うい「握り」
自民党国対幹部の一人は、国会日程が窮屈になったことについて「大島氏と山岡氏の間の裏約束(握り)があった」と語る。
年明けからの大島、山岡両氏の交渉では政府4演説の日程が、1月23日→26日→27日と後退した。民主党から「年度内成立に簡単に道を開くな」(菅直人代表代行)と審議引き延ばし論が出て裏約束の実行ができなくなった。大島氏は26日、党幹部に「菅氏が話を壊しているんだ」と釈明する一幕もあった。
与党は昨年1月、ガソリン税の暫定税率問題で、衆参両院議長の斡旋(あっせん)を受け、税率の期限切れを避けるブリッジ(つなぎ)法案を撤回。だが民主党との協調は壊れ、昨年4月から1カ月間、暫定税率廃止に追い込まれた。
大島氏は27日夜、2次補正成立で「蛮勇を振るうだけが強さではない。ぎりぎりまで努力するのが与党の責務だ」と胸を張った。だが、自民党の閣僚経験者は「衆参ばらばらで約束を守れない民主党を信用できるのか」と首をひねる。
■ブリッジ法案は必至
大島、山岡両氏の国会日程の裏約束を背景に、与党は23日、21年度予算案の関連法案のうち関税の優遇措置などを継続する「つなぎ法案」を提出しないと言い出した。だが、2次補正での民主党の強硬姿勢を見れば、関連法案の年度内成立も危ぶまれる。関税優遇が切れて輸入牛肉などが値上がりすれば、与党が批判される。結局は「つなぎ法案」を出すことになるとの見方が出ている。
年明けに国会運営について「鬼手仏心。あらゆる手だてを使う」と宣言した大島氏に、鬼の形相が戻るかが麻生内閣の命運を握っているといえそうだ。
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