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2009年01月28日(水) 00時35分

増える高齢ドライバー 大阪府で60万人突破、事故も6000件超産経新聞

 高齢ドライバーの交通事故が急増している。大阪府内では65歳以上の高齢ドライバーが昨年、戦後初めて60万人を超え、10年前から倍増。高齢ドライバーによる事故も昨年初めて6000件を突破した。大阪市港区で26日、74歳の男の運転操作ミスで2人がはねられて死亡するなど、操作ミスによる事故も相次いでいる。身体能力の低下を自覚する高齢者に、免許証の自主返納を促す地域サービスも出現。事故抑止に向けた試みも始まっている。

 警察庁によると、平成19年末で全国の高齢ドライバーは約1107万人、事故件数は10万件以上に上っている。

 府警によると、高齢ドライバーは20年末現在、62万6027人。28万8852人だった10年から激増し、全免許保有者に占める割合も同年の6・2%から12・5%に倍増した。

 同様に事故も10年は2447件だったが、昨年は6048件に増加。全事故件数の11・2%を占めた。

 事故原因では、アクセルとブレーキを踏み間違えるなどの操作ミスが目立つ。堺市美原区では昨年7月、当時67歳の男性が運転する乗用車が銀行支店に突っ込み、店内にいた女性が軽傷を負った。

 今月26日の大阪市港区の事故では、74歳の男=自動車運転過失傷害の現行犯で逮捕=が運転する乗用車が飲食店に突っ込み、店内の客2人が死傷。さらに男が車をバックさせた際に自転車の女性がはねられ、死亡した。いずれの事故も運転手のアクセルとブレーキの操作ミスが原因という。

 また、男は19年9月にも高槻市内で人身事故を起こし、60日間の免許停止処分を受けていた。同年12月の免許証更新時、身体障害者の場合は運転条件が付されるケースがあるが、「AT車に限る」という条件以外は特になかった。男は右足に障害があり、車は左足だけで操作できるよう改造されていた。

 高齢化が進む中で国は14年、道交法を改正し免許更新時の高齢者講習の対象を75歳以上から70歳以上に拡大。無事故・無違反の「優良運転者」の免許証有効期間も、通常の5年間から70歳では4年間、71歳以上では3年間に短縮し、運転能力の低下を早期に発見できるようにした。

 一方で、企業や商店などが協力して運転免許証の自主返納を促す地域も徐々に増えてきた。

 兵庫県内では昨年10月、自主返納した高齢者を対象に路線バスの運賃や温泉の入浴料が割引される制度を導入。愛媛県でも同年6月、レストランやホテルで優遇を受けられるサポートが始まった。

 府警は「車を必要とする高齢者も多い中で、自主返納は強制できるものではない」としたうえで、「免許を持ち続ける場合も加齢による身体能力の低下を自覚し、余裕をもった運転を心がけてほしい」と呼びかけている。

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