2009年01月28日(水) 15時07分
グーグル地図に功罪 公開プライバシー侵害 街の風景手軽にPCで 福岡県弁護士会は中止要請(西日本新聞)
米インターネット検索大手グーグルが提供している地図検索サービス「ストリートビュー」で、便利さとプライバシーをめぐり、国内の自治体議会や法曹界から議論が巻き起こっている。このサービスは、各地の街の風景を手軽にパソコンで見られる半面、家屋や庭などの詳細な画像がネット上に「公開」される場合があるからだ。福岡県弁護士会もプライバシー侵害を理由にサービスの中止を求めるなど問題視している。
ストリートビューは道路沿いの風景をパノラマ写真で画面に表示する。グーグルが一昨年米国で開始。日本では昨年8月から札幌や東京、京都、大阪など都市部を対象に始めた。九州はまだ対象となっていない。
観光名所や建物などの様子がパソコン上で無料で眺められるのが特徴。不動産サイトを中心にストリートビューを活用した事例も増えている。グーグルはカメラを据え付けた車で、都市の通りをくまなく走ってサービスを実現した。
一方で、通行人の姿や車のナンバーなどが写っているケースも目立つ。福岡県弁護士会は昨年12月、福岡市内でストリートビューの準備作業が始まっているとして、中止を求める声明を発表。「多数の市民の肖像を根こそぎ撮影し、プライバシー権侵害の程度は大きい」と訴えた。
新潟県弁護士会もプライバシーの侵害をなくすようグーグルに要請。また、東京都町田市議会、奈良県生駒市議会などが国に規制を要望した。
国会でも昨年11月の衆院総務委員会で自民党議員が「犯罪者にとって素晴らしいツールだ」と発言。高さ2・5メートルから写された全方位画像は防犯上問題があると指摘した。
グーグルは、自動で顔やナンバーをぼかす技術を導入しているほか、電話で要請があれば削除にも応じている。各方面からの指摘には「誠実に受け止め、製品の改良につなげたい」と説明する。
一方、所管の総務省は「注視していきたい」と規制には慎重な姿勢だ。
=2009/01/28付 西日本新聞夕刊=
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