27日午後7時ごろ、鳥取県境港市の水産加工会社「日吉水産」所有のカニかご漁船第38吉丸(122トン、安藤正史船長ら十人乗り組み)から「ロシアから臨検を受ける。ロシアのナホトカ港に向かっている」と同社に連絡があった。
外務省は、第38吉丸がロシア当局に拿捕(だほ)されたのを確認。日吉水産によると船は28日夕、ナホトカに到着した。
河村建夫官房長官は同日の記者会見で「10人の乗組員の健康状態に問題はない。人道的観点から早期解放を求めた」と述べた。官房長官によると、ロシア側は第38吉丸が排他的経済水域(EEZ)内で違法操業したと主張している。
鳥取県水産課によると、拿捕されたのは境港市の北約480キロの「北大和堆(やまとたい)」と呼ばれる水域。第38吉丸は漁を終えて停泊中、ロシア側のEEZに入ってしまったことに気づき、戻ろうとした際に臨検を受けた。
ロシア極東沿海地方の国境警備当局者によると、EEZ内で第38吉丸を見つけ臨検してカニを発見。船長は漁獲許可の書類を提示できなかったため、密漁の疑いがあるとして連行したという。
日吉水産の岩田慎介社長は28日午後、記者会見し、「銃を持った警備員6人に乗り込まれた」と拿捕当時の状況を説明。「ロシア側で操業した事実はない。船と船員の速やかな返還を」と訴えた。
第38吉丸は24日午前10時ごろに境港を出港。操業は1週間の予定だった。乗組員は20—60代で、鳥取のほか、島根県の人もいるという。
一方、鳥取県は28日午前、関係者を集めて対策会議を開催。外務省や水産庁と連絡を取り合い、情報収集に努めていくことを確認した。県水産局長や岩田社長が29日、関係省庁を訪れ、早期解決を要望する。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090128-OHT1T00277.htm