2009年01月28日(水) 00時10分
オバマ政権1週間、「変革」へ政策次々…具体化に難問も(読売新聞)
【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領が就任してから27日で1週間がたった。
オバマ氏はこの間、キューバ・グアンタナモ米海軍基地内のテロ容疑者収容施設の1年以内の閉鎖を命じる大統領令を発表するなど、数々の政策を異例の早さで打ち出し、米国民の「変革」への期待に応える姿勢を印象づけた。
ただ、それぞれの政策の具体化には難問も多く、就任後最初の100日でどれだけ実現への道筋をつけられるかが、今後4年間の政権の命運を左右することになりそうだ。
オバマ氏がこれまでに発表した政策の中で最も注目されたのは、グアンタナモの収容施設の閉鎖やテロ容疑者への拷問を禁止することを命じた一連の大統領令だ。オバマ氏はこれにより、米同時テロ以降展開されてきた「ブッシュの戦争」に事実上の終止符を打ち、テロとの戦いの過程で損なわれた米国の威信と道義的地位を回復する立場を鮮明にした。
だが、グアンタナモの施設閉鎖は、釈放すれば再び対米テロを敢行しかねない「危険なテロリスト」たちの処遇問題の解決が大前提だ。一方、テロ容疑者への拷問禁止を命じた大統領令は、テロ阻止のための情報収集が必要な場合に限り、拷問を禁じた陸軍戦闘教範から逸脱した尋問方法も容認する方針を示しており、人権左派勢力などから早くも警戒の声が出ている。
ブッシュ政権のもう一つの「負の遺産」であるイラク撤収問題では、オバマ大統領は21日、ホワイトハウスで、選挙公約通り「戦闘部隊を16か月以内に撤収させる」との方針を説明した。
ところが、ゲーツ国防長官は翌日の記者会見で「16か月は複数の選択肢の一つだ」と述べるにとどまったほか、ライアン・クロッカー駐イラク米大使も「軽率に撤収すれば多大な危険を伴う。(国際テロ組織の)アル・カーイダが攻勢に転じる恐れもある」と警告。米軍当局者の間では、撤収時期は、米国とイラクの地位協定が定める2011年末を最終期限に、柔軟に判断すべきとの意見も強い。
他方、内政問題や環境問題でオバマ氏は、民主党リベラル色を明確に打ち出し、ブッシュ前政権との違いを際立たせた。特に妊娠中絶問題では、オバマ氏は中絶容認の立場から、中絶を支援する国際団体への公的資金援助規制を解除する大統領令に署名し、中絶反対派のブッシュ前大統領の方針を百八十度転換した。
環境問題では、気候変動担当特使や、ホワイトハウスのエネルギー・気候変動担当調整官を新たに任命。ブッシュ前政権が京都議定書から脱退したのとは対照的に、今年12月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で合意を目指す「ポスト京都議定書」の枠組み作りに積極関与する方針を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000068-yom-int