2009年01月27日(火) 11時43分
調書漏えい公判 前編集長「公共性図られず」出版に反対(毎日新聞)
奈良県田原本町の母子3人放火殺人事件を巡る供述調書漏えい事件で、秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(51)の第6回公判が27日、奈良地裁(石川恭司裁判長)であった。講談社学芸局次長の加藤晴之さん(53)=前「週刊現代」編集長=の証人尋問があり、調書の直接引用について「公共性が図られていないという認識だったので反対した」などと語った。出版元の幹部が自社の刊行物を批判する異例の展開で、当時の講談社の甘い編集、チェック体制が改めて浮き彫りになった。
講談社は07年5月、殺人などの非行内容で中等少年院送致となった長男(18)の供述調書を引用した単行本「僕はパパを殺すことに決めた」を出版。昨年4月に出た講談社の第三者調査委員会報告書によると、加藤さんは社内でただ一人公然と出版に異を唱えた。この日は崎浜被告が出版に関与していないことを立証するため、弁護側が証人申請した。
出版について加藤さんは「結果として崎浜さんに迷惑を掛けた」と述べ、公権力の介入を招く恐れを感じたかについては「抱きました。どうなるか分からなかったが、介入を招く危惧(きぐ)はあった」と答えた。【上野宏人】
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