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2009年01月27日(火) 00時00分

“臨時収入”の効果は? 給付金、「期待薄」の声も中国新聞

 一人当たり一万二千円の“臨時収入”の効果はあるのか。総額二兆円の定額給付金を盛り込んだ二〇〇八年度第二次補正予算案。麻生太郎首相がもくろむ生活支援と消費拡大について、専門家からは「期待薄」と懐疑的な声が早くも上がっている。

 「給付金は駅前で配られているティッシュのようなものだ」と例えるのは「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者で公認会計士の山田真哉やまだ・しんやさん。

 給付金はティッシュのようにその場では重宝がられても、いつしかもらったことすら忘れられる—。山田さんは波及効果を「限定的」とみる。「ティッシュ袋の裏に『麻生太郎』と書いてあるかのようだ。支持率低下の中でアピールに走りすぎてはいないか」と疑問視する。

 日本消費者協会(東京)の木本希きもと・のぞむ専務理事は不況の中での支給を「消費者としては喜ばしいこと」と歓迎しながらも「あくまで家計の足しになる程度で、消費マインドが上向くとまでは期待できない」と話す。

 「ホームレスといった本当に必要な人に給付金は届かないのではないか」と心配するのは、生活保護問題対策全国会議の代表幹事、尾藤広喜びとう・ひろき弁護士。総務省が、知人宅に下宿し住民登録すれば受給できるとしているのに対し「下宿できるならホームレスにそもそもならない。現実を知らなすぎる」と憤る。

 ホームレスやドメスティックバイオレンス(DV)の被害者らは、債権者や夫の暴力から逃れるため住民票を移せないのが実態という。尾藤弁護士は「住民票を基準に制度設計をしたのが間違い」と指摘。「景気浮揚が目的なら生活保護費のアップなど、低所得層の底上げをするべきだ」と話した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901270093.html