【ニューヨーク26日共同】製薬業界で世界最大手の米ファイザーは二十六日、同業の米ワイスの買収で合意したと発表した。買収額は六百八十億ドル(約六兆円)。両社の二〇〇七年の売上高を単純合計すると七百億ドル規模に達し、最大手の地位を固める。
世界的な景気後退の影響で、米国では安価な後発医薬品が増加、経営を圧迫されているファイザーは規模拡大で競争力を高め、巻き返しを図る。
両社の統合でフランスのサノフィ・アベンティス、英グラクソ・スミスクライン、スイスのロシュなど欧州勢や日本の武田薬品工業などは規模の面で大きく水をあけられることになり、業界再編を促す可能性がある。
統合手続きは年内に終える予定で、三年間で四十億ドル規模のコスト削減効果を見込んでいる。両社の統合で、医薬品の米国での市場占有率(シェア)は12%、欧州では10%、日本では6%に達する。
製薬業界では新薬の開発費が高騰する一方、医療費抑制に向けて医療機関などが後発薬を積極的に使用。短期間で投資を回収しつつ、コンスタントに新薬を投入していく必要が強まり、規模拡大が課題となっている。
ファイザーは最近、大型新薬の投入がなく、先行きに懸念も指摘されていた。有望な新薬を多く抱えるワイスを取り込むメリットは大きいと判断したもようだ。