自宅で介護を受けることが難しいお年寄りが暮らす特別養護老人ホームへの入所待機者が少なくとも全国で三十八万二千人に上っていることが二十六日、共同通信の調査で分かった。要介護認定者に占める割合は8%。
全国で特養ホームへの入所者は現在、約四十万人。待機者は入所者に近い数がいることになり、国が社会保障費抑制策を続けてきた結果、需要の高まりに施設整備が追いついていない現状が裏付けられた格好だ。
今後、市町村が策定する二〇〇九年度から三年間の介護保険事業計画で、待機者数に応じた特養増設などを求める声が強まりそうだ。
調査は今月、都道府県などに対して実施。一人で複数の施設に申し込んだ分も待機者数に含めている徳島を除く四十六都道府県分(岡山、山口、宮崎、鹿児島は県庁所在地のみ、京都は京都市除く)を集計した。要介護度の重い人だけを待機者に数えるところもあるため、待機者はさらに多いとみられる。
特養は、介護型療養病床や老人保健施設と同じ介護施設の一つ。入所期限がない“ついのすみか”と位置付けられており、二十四時間ケアが受けられる上、一般的に他の施設より費用が安いため、入所希望者が多い。このため、待機者には今後削減される療養病床やリハビリ目的の老健施設などから特養に移りたい人も含んでいる。
待機者に数える基準が自治体で異なるため、比較は難しいが、待機者が多いのは東京、広島、北海道など。要介護認定者に占める割合は、広島が21%、三重が20%、山梨が19%などと高い。
待機者のうち自宅待機者は三十六都道県で把握しており、計約十二万三千人。
厚生労働省が実施した〇六年の調査では、特養の入所申し込みは三十八万五千人だったが、一人で複数申し込んでいる分を含んでいた。