山口県と岩国市が愛宕山地域開発事業跡地の買い取りを求めた26日の政府要望で、防衛省は購入自体には前向きな姿勢を見せつつも、二井関成知事が求めた「無条件の買い上げ」には難色を示した。防衛省が跡地を米軍住宅の候補地と位置付ける中、今後の交渉は依然、不透明なままだ。
二井知事は福田良彦市長とともに、非公開で浜田靖一防衛相と面会。跡地の用途を特定しないままで買い上げるように求めたが、防衛相は「条件はもっと詰めなければならない」と慎重な姿勢も示した。
要望後、記者団の取材に応じた知事は「買い取るということを言われたのは初めてではないか」と成果を強調した。ただ、具体的なめどは依然立たないことは認めた上で、今後も無条件の買い上げを防衛省に要望するか否かを問われると、「私としてどこまで認めることができるか。これからの交渉次第」と含みを残した。
跡地の用途について、防衛省は岩国移転を計画する米空母艦載機部隊の住宅用地の候補地と位置付ける。一方、周辺住民が米軍住宅化に反対する中、県と市は用途を明確にしないで買い取るよう求める。防衛省は「目的が明確でない土地の購入は困難」との立場で、接点は見いだせない。
【写真説明】山口県、岩国市が国に「無条件の買い取り」を求める愛宕山地域開発事業跡地。中央奥が米海兵隊岩国基地