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2009年01月27日(火) 00時00分

オバマ就任式高視聴率読売新聞


米連邦議会議事堂で就任演説を終えた後、観衆に手を振るオバマ米新大統領。演説の生中継は日本でも異例の高視聴率を記録した=小西太郎撮影
演説中心に未明の生中継

 20日(日本時間の21日未明)に行われたバラク・オバマ米大統領(47)の就任式は、NHKとフジテレビ、TBSの地上波ほか、一部の有料放送で生中継され、未明にもかかわらず多くの視聴者の関心を呼んだ。(井上晋治) NHKは総合テレビと衛星第1で21日午前1時10分から、東京のスタジオと会場とを結び、提携している米ABCの映像を織り込みながら生中継した。ラジオもFMとラジオ第1で同50分から生で伝えた。

 総合テレビの平均視聴率は、関東地区で5・8%と、同時間帯では前1か月平均の約4倍に達した。そのほか、関西地区が6・7%、北部九州では10・3%(いずれもビデオリサーチ社調べ)を記録した。NHK広報局によると、「2001年のブッシュ前大統領就任時が(関東地区で)1%台だったことを考えると、相当高い数字」という。

 視聴者の反響も多く、NHKの視聴者コールセンターには、21日だけでファクスやメールなど約170件の意見が寄せられた。再放送を求める意見が約40件と最多で、中継では同時通訳が主体だったため、「(オバマ大統領の)肉声で聞きたい」との要望も目立った。これを受け、同局は急きょ、25日午前0時55分から1時20分まで、総合テレビで演説部分を字幕付きで再放送した。昨年12月にスタートしたNHKオンデマンドも26日現在、就任式報道が「見逃し番組人気ランキング」の上位を維持している。

 民放はフジテレビとTBSが、深夜の番組編成を変更して対応。その後も各局の情報番組で21日早朝にパレードの模様を生中継したほか、ミシェル夫人のファッションなども取り上げた。

 フジテレビは深夜の「ニュースJAPAN」を拡大した特別番組を、同日午前1時40分から1時間にわたり放送。注目の就任演説の際には、「生の声を届けるため」(同局)字幕を流して演説内容を同時進行で翻訳した。

 TBSは就任演説を中心に同日午前1時59分から約1時間、提携する米CBSの中継映像などを放送。赤坂のスタジオでは、ケネディら歴代米大統領の就任式の映像も紹介して比較、論評した。

 有料放送では、CSのCNNjやBBCワールドニュースが、就任式やパレードなどを生中継。WOWOWは、ワシントンでビヨンセら有名歌手が参加した「オバマ大統領就任記念コンサート」の模様を、24日に緊急放送した。

 これだけ多くの放送がなされたのは、日本国民がオバマ新大統領に寄せる期待の大きさ、関心の高さを示すものと言えるが、放送評論家の佐怒賀三夫さんは、「お祭り騒ぎの就任式は、テレビにとって格好の“イベント”になってしまった」と辛口の意見。「米国の新政権への期待感もあるが、視聴者もイベント見たさでテレビに流されている。就任式中継も、今後の日米関係への影響など、もっと多角的論点を持った報道番組に徹するべきだった」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20090127et02.htm