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2009年01月27日(火) 00時00分

脳の「メモ帳機能」強化読売新聞


情報があふれる現代社会。ワーキングメモリーに注目が集まっている

 一日の仕事の段取りを思案している時、頭の中ではワーキングメモリー(作業記憶)という「脳のメモ帳」がフル稼働している。

 目的に意識を集中し、てきぱきと処理するには、ワーキングメモリーが欠かせない。この能力は鍛えることができると聞き、トレーニングソフトを試した。(山田哲朗)

STEP1  ソフト準備 ネット接続

 ワーキングメモリーは物事を数秒間、頭の中にとどめておく能力だ。長期にわたる記憶と違い、用が済めば忘れ去ってしまう。一見、あまり重要には思えないが、会話、暗算、計画立案など知的な活動に深くかかわっている。

 「隣の部屋に物を取りに行ったのに、着いたら目的を忘れた」「文章を読んでいたのに頭に入らず、読み直した」なども、ワーキングメモリーの低下が原因だ。

 「コグメドQM」(コグメド・ジャパン)は、ビジネスマンらがワーキングメモリーを鍛える訓練プログラム用のソフトだ。まずインストールし、ネットに接続しよう。

STEP2  記憶の課題 1日30分

 一日の訓練には約30分かかる。訓練のための問題は何種類かあり、基本は、次々と点灯するボタンやブロックの位置と順番を覚え、それを正しく繰り返すという課題だ。三つか四つなら簡単に覚えられるが、五つ、六つと増えるとなかなか難しい。

 能力に応じて難易度が変わるので、常に訓練にちょうどいい難しさになっている。

 ソフトはもともと、注意が持続しない注意欠陥・多動性障害(ADHD)を改善するため、スウェーデンで開発された。ゲームのように面白いわけではなく、疲れる。テレビや電話を避けて集中しないとうまくいかない。

STEP3  5週間の成果確認

 訓練を一通り終えるには約5週間かかる。筋力トレーニングと同じく、一定期間、ある程度の負荷をかけないと、ワーキングメモリーを鍛えることはできないためだ。

 成績の推移は、ソフト上で確認でき、ホームページ上でも詳細なデータを確認することができる。訓練が進むにつれて、だんだんと成績が上がっていく様子がよくわかるはずだ。

 ワーキングメモリーは30歳ぐらいから低下していくらしい。しかし、訓練後はメモリーの容量が20%ほど増えるという。

 心なしか、集中力が上がり、仕事をうっかり忘れることが減ったように感じた。

続けないと効果薄い 脳の強化をうたうソフトには科学的根拠が希薄なものもある。過大な期待は禁物だ。 訓練は続けないと効果が出にくい。忙しくて時間が取れない時期は最初から避けた方が無難だろう。
4歳児から鍛錬可能

コグメドQMワーキングメモリートレーニング
 注意力や問題を解決する能力を改善する。そのために、毎日の作業時に情報を処理するワーキングメモリーという能力を鍛える。1回30〜40分のプログラムを電話やメールで指導を受けながら、続ける。期間は約5週間。年齢別のプログラムがあり、4歳から実施可能。コグメド・ジャパン 標準価格 4万9800円

ワーキングメモリーを鍛える
 ゲームを通じてワーキングメモリーを鍛える無料ソフト。三つ以上の任意の数の単語を覚えた後、簡単な足し算を10問解き、先に覚えた単語を入力する。URLはhttp://12234567890.web.fc2.com/(YOMIURI PC編集部)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/dennou/20090127nt09.htm