2009年01月27日(火) 19時21分
ホットメールがメールソフトから利用可能に(Oh! MyLife)
マイクロソフト(Microsoft)が無料で提供するWebメール「ホットメール(Hotmail)」がPOP3およびSMTPに対応した。開発者のブログ「Windows Live team blog」で2009年1月14日に発表された。
WebメールはWebブラウザ上で閲覧できる電子メールである。通常形式の電子メール(POP3メール)と異なり、メールソフト(Outlook やThunderBirdなど)なしでもメールの送受信が可能である。自分のPCでなくてもインターネットに閲覧できる端末ならば利用できるため、便利である。
一方でWebメールはPOP3メールと比べて不便な点もある。POP3メールはメールをメールソフトに取り込めば後はメールソフトで処理するだけである。これに対してWebメールはメールを閲覧するために一々Webサーバと情報をやり取りしなければならない。これは毎回HTTPリクエストを発行し、レスポンスを受けることを意味する。操作性や処理速度の点ではPOP3メールが上である。
視点を変えてプロバイダーとの関係で見ると、ホットメールのようにプロバイダー契約者以外でも取得できるメールアカウントは、プロバイダーから提供されたメールアカウントと比べて2点のメリットがある。
第1にプロバイダーを乗り換えたとしても、メールアドレスを変更しなくても良い。
第2にメール送信先に契約しているプロバイダーを知られずに済む。面識のない人々ともコミュニケーションできることはインターネットの利点であるが、怖いところでもある。信頼関係ができていない相手とのやり取りにフリーのアカウントを使うことはネット社会における初歩的な自衛策として定着している。
そのため、プロバイダーから提供された電子メールを有していても、フリーのWebメールを使うユーザーは多い。記者(=林田)も、その1人である。記者の場合は東急不動産との裁判闘争がネット生活にも影響を及ぼしている。
■ポート番号の設定に注意
記者は東急不動産から購入したマンションの売買契約を取り消した上で、東急不動産を提訴した。そのため、いつでも引っ越しできるように契約中のプロバイダーに依存するメールアドレスを多用したくはなかった。他方で裁判を有利に進めるために情報収集・意見交換を積極的にしたが、何しろだまし売り企業との戦いである。情報収集でも「蛇の道は蛇」的なところがあり、気が抜けない。そのためにフリーのアカウントを利用することが多かった。
正直なところ、プロバイダーのアドレスよりもホットメールをメインのアドレスにしたいくらいであったが、ブラウザから一々Webページを閲覧しなければならない操作が不便であった。その問題は今回のPOP3/SMTP対応によって解消する。
このPOP3/SMTP対応はGoogleのGmailなどほかの多くのWebメールサービスでは実装済みである。ホットメールはWebメールの中でも老舗であるが、2009年になってのPOP3/SMTP対応は非常に遅い。恐らくマイクロソフトとしてはポータルのMSNを梃(てこ)入れするために、ユーザーの利便性を犠牲にしてもWebメールに限定させることで、ユーザーにWeb画面を閲覧させ、そこからMSNへのアクセスにつなげようという意図があったのではないかと思われる。いずれにしても利用者に利便性をもたらすPOP3/SMTP対応は歓迎できる。
ホットメールをメールソフトで利用するための設定は難しくなかった。つまずくことがあるとすればPOP3サーバのポート番号が一般的な110番ではなく、995番になっていることである。Web上に大量のメールデータが存在する場合、設定後の最初の受信時に蓄積されていた全データをダウンロードするために時間がかかる点には注意を要する。今後はWebメールとPOP3メールの長所を共に生かせるホットメールをもっと活用していきたい。
(記者:林田力)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000005-omn-inet