競輪のトップスターで最高ランクのS級S班に在籍する手島慶介(てじま・けいすけ)選手=群馬=が25日午後7時50分ごろ、群馬県高崎市内の病院で死亡したことが26日、分かった。33歳だった。同選手は昨年12月29日、平塚競輪で開催された「SSカップみのり」(G1)でビッグタイトルを手に入れたばかり。自殺との見方もあり、栄光からわずか1か月足らずの死に、競輪関係者もショックを隠せない。
衝撃的な知らせに関係者や選手も言葉を失った。競輪界最高峰のS級S班・手島選手の突然死。昨年暮れ「SSカップみのり」で念願のG1タイトルを奪取してから、わずか27日の訃報(ふほう)で、自殺とみられる。
落車をしても、骨にヒビが入っていっても、あっせんされた競走は絶対に休まない。人一倍、責任感の強い選手だった。
それが今年に入り、名古屋競輪、G1で特選シード組だった1月小倉競輪の「競輪祭」も体調不良で急きょ欠場。そして“練習量日本一”を自負する選手が、バンク練習には一度も姿を現すことはなかった。練習仲間も「最近はどことなく暗くて元気がなかった」と何かを悩んでいる感じだったという。また、スポンサー企業も数多く契約しており、今の地位を堅持するために相当なプレッシャーもあったようだ。
とし子夫人も「突然のことでどうしていいのか分からない。今は何も考えられない」と言葉に詰まり、ぼう然としている様子だった。
手島選手は1975年、群馬・玉村町生まれ。前橋工を卒業後、日本競輪学校に75期で入学。95年4月にデビューし、全選手3556人中、競輪界のトップ18選手にしか与えられないS級S班に在籍。97年には「第39回競輪祭新人王」(小倉)に輝き、G2タイトルも2度制覇。昨年は、約8740万円を稼ぎ、6位にランクされた。
競輪界で1億円一発勝負の年末のビッグイベント「KEIRINグランプリ」にも2度出場。06年(京王閣)には準優勝の実績もある。通算成績は1051戦315勝。生涯獲得賞金額は5億2940万100円。私生活では08年10月、群馬・高崎市に和食店「葵屋」をオープン。オーナーも務めていた。自身のブログでは「かなりお店の内装にこだわり過ぎて、採算が合わない店になりそう」と書き込んでいたが、昨年12月1日で更新が止まっている。
◆S級S班 昨年新設され、競輪選手3556人(08年12月31日現在)の中でもエリート18選手に1年間与えられる称号。競輪の最高峰レース「KEIRINグランプリ」出場予定選手、自転車競技トラック種目で世界規模の大会に出場し、「開催運営に関する調整委員会」が認めた選手など。S級S班選手はビッグレースでのシードや、記念競輪のあっせんを自ら選べる特典がある。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090127-OHT1T00095.htm