2009年01月27日(火) 23時51分
ロシア、軍装備近代化へ軍事費増強 英シンクタンク報告書(産経新聞)
【ロンドン=木村正人】英国の国際戦略研究所(IISS)は27日、世界の軍事力を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2009」を発表し、昨年8月にグルジアに侵攻したロシアが、軍装備の近代化に向けて今年の軍事費を前年比で25%も増額したと指摘した。イスラム原理主義勢力タリバンが攻勢を強めるパキスタンやアフガニスタンでのテロ対策は難航しているという。
報告書によると、ロシア軍がグルジア侵攻に要した費用は125億ルーブル(約342億円)。強硬姿勢を示すことで軍の誇りは回復できたが、軍備の近代化が遅れている実態を露呈した。このため、ロシア軍は最新型戦車1400台の導入を含む装備の近代化を提案するとともに、グルジア軍から接収した最新型戦車44台や防空システムなどの“戦果”を強調した。
ロシア政府は、国防力増強のため今年の軍事費を1兆2785億ルーブル(約3兆4900億円)と前年比で25%増額。10〜11年にもさらに増やす方針だ。
グルジア侵攻でロシアと欧州が対立し、対話は最小限にとどまるため、ロシア首脳は欧州安保協力機構(OSCE)などを通じた新たな安全保障の枠組みを模索していると報告書は分析する。
さらに、親米軍事政権が倒れたパキスタンについては、アフガンと国境を接する辺境地域でタリバンの攻撃を押さえ込むことが課題と指摘した。パキスタン軍は11万2000人を展開するが、タリバンの越境攻撃は見逃されており、同国軍情報機関、三軍統合情報部(ISI)が米国の軍事作戦をタリバンに漏らしているとの憶測が流れている。
一方の米軍は、パキスタン政府の了承を得ずに辺境地域を攻撃し、市民の犠牲が増え、逆に反発を招いている。
アフガンでは、地方だけでなく首都カブールでも自爆テロや仕掛け爆弾の被害が拡大。タリバンの穏健派との秘密交渉も進められるが、今年予定される大統領選を成功させるのが最優先課題だとしている。
また、イランは03年に核兵器開発を停止したとされるが、同国はウラン濃縮活動とミサイル開発を継続していると指摘。元米国務次官補代理のマーク・フィッツパトリック上級研究員は「早ければ年内に核兵器製造に必要な濃縮ウランを手に入れる可能性がある」と警告した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000639-san-int