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2009年01月27日(火) 23時48分

うまみ求めた「分業体制」 南青山の契約書偽造事件産経新聞

 “うまみ”を求めて不動産ブローカーらが群がった南青山の一等地。いわくつきの土地の売買話に真実味を持たせるため、元公団職員の宮崎勝儀容疑者が契約書の偽造を主導し、不動産会社実質経営者の三輪洋治容疑者が融資を引き出す際の交渉に当たるなど、それぞれの立場を生かした「分業体制」を敷いていたという。

 南青山の土地は東京メトロ表参道駅から徒歩5分の好立地にある。「土地全体をまとめて売れば100億円を下らない利益になる」(不動産関係者)といい、昭和60年代のバブル期以降、不動産ブローカーや暴力団関係者が転売益を求めて群がった。

 「もうけ話が浮かんでは消え、『土地がまとまる』という話は簡単には信じなくなった」(同)。こうした中、宮崎容疑者らが考案したのが契約書のでっち上げだった。

 宮崎容疑者は昭和35〜39年にかけ、都市再生機構(UR)の前身だった旧日本住宅公団に勤務。以降、不動産ブローカーとして活動し、「URに顔が利く。昭和地所社員とも非常に親しい関係にある」と吹聴していた。

 直接、都内の不動産会社と転売交渉に当たったのは三輪容疑者。関係者によると、三輪容疑者は「土地の取りまとめに当初参加していた人物が2億円を出しており、手を引いてもらうため2億円が必要」などと話し、諸経費を含めた3億円を要求したという。

 契約書を見て信用した社長は、交渉に同席していた元組長が指定した口座に3億円を振り込んだという。うち2億円は三輪容疑者を経由して、当初参加していた人物の手に返済されたことが分かっているが、残る1億円の行方は不明だ。

 三輪容疑者は産経新聞の取材に「契約は自分も正規なものだと思っていた。私は長年、南青山の土地にかかわってきた。私でなければ転売交渉に応じない人がいるだろうと思って乗った」と、自らも宮崎容疑者にだまされたと主張した。さらに「宮崎と昭和地所の本社に行ったことがあるが、私は外で待たされた。中で(宮崎容疑者が)本当に会社の人と会っていたか疑問だ」とも話していた。

 久保雅勇容疑者は今回の偽造契約書に「立会人」として署名したほか、契約書を作ったとされる。ただ、取材に「三輪に渡されたワープロと手書きが交ざった案文を打ち直しただけ。虚偽の契約とは知らなかった」としていた。

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