2009年01月27日(火) 22時21分
民主ちぐはぐ対応 給付金対決演出に効果も(産経新聞)
民主党は定額給付金が盛り込まれた平成20年度第2次補正予算案について、26日の参院での採決を容認しながら、両院協議会では強硬姿勢に転じ成立を27日まで引き延ばした。そのちぐはぐな国会対応に党内外から不満が出ているが、給付金問題を再び世論に印象づける一定の効果はあった。同党はこれを前哨戦とし、主戦場の平成21年度予算案の審議で政府・与党に攻勢を強める方針だが、麻生政権をどう追い込むのか、青写真は描けていない。
両院協議長として引き延ばしに成功した民主党の北沢俊美参院議員は27日午前の党常任幹事会で、26日にクジ引きで議長の座を引き当てた「とき」をこう振り返った。
「人生最高の瞬間でした」
しかし常任幹事会のメンバーの心中は複雑だった。その一人は「おかげでみんな大変な思いをしているんだよ」とつぶやいた。
国会論戦で麻生政権を追い込みたいが、むやみに2次補正の成立を遅らせれば、与党に平成21年度予算案との「並行審議」を強行され、世論の反発が予想される審議拒否で抵抗せざるをえなくなる−。2つの思いが交錯し、民主党の対応は揺れた。
混乱の発端は15日の自民、民主両党の参院国対委員長会談にさかのぼる。2次補正の23日の参院採決で大筋合意したことに、民主党の菅直人代表代行ら執行部が激怒した。党内では早期採決を容認する空気が強かったが、これで流れが微妙に変わり、党幹部会は23日、26日の採決に応じる方針を決めたのだ。
その幹部会で、衆院予算委員会筆頭理事を兼ねる菅氏は「予算案の年度内成立を阻止するために、両院協議会を1週間ぐらい延ばせばいい」との強硬論を展開し始めた。「菅氏は代表代行の立場を離れ、完全に予算委員会モードになって闘争本能に火がついた」(同委理事)というわけだ。
民主党は26日、北沢氏らベテラン勢を「参院最強メンバー」として両院協議会に投入し、議事録の作成など運営方向をめぐる要求を突きつけた。党内にも「両院協議会で文句をつけて引き延ばすなら、最初から2次補正を採決しなければよかったじゃないか」(幹部)との声が広がった。
しかし、衆院で与党に3分の2の議席を握られている以上、いずれは2次補正と関連法案は成立する。定額給付金をめぐる論争も今後、下火になることが想定される。民主党国対幹部は「給付金問題に国民の目が向いただけで十分だ」と2日間の攻防を総括した。「ガチンコ国会の厳しさを麻生太郎首相に知らしめ、政府・与党の焦りを誘う」(中堅)という効果もあったとみる。
民主党は29日の衆院本会議の代表質問に、鳩山由紀夫幹事長と無所属の田中真紀子氏を起用する。山岡賢次国対委員長は27日の代議士会で、今後の予算案の審議で消費税率引き上げや国家公務員OBの「渡り」などで本格論戦を展開するようハッパをかけた。ただ、中堅議員はその直後、攻め手に欠く苦しさを吐露した。「政権を追い込むような争点がないので、粛々とした審議になってしまうのではないか」
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000628-san-pol