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2009年01月27日(火) 21時24分

<両院協>「調整弁」機能不全 野党「牛歩」で政略の舞台に毎日新聞

 08年度第2次補正予算案を巡り、2日間にわたって開かれた両院協議会は、立法府の意思決定が遅れるねじれ国会の機能不全ぶりを改めてあぶり出した。衆参両院の議決が異なる場合の「調整弁」として期待される両院協の現状は、与野党双方が委員を出し、対立の構図をそのまま持ち込む「ミニ国会」にすぎない。結果的に野党側の審議引き延ばし戦略の舞台となり、今後の運用に大きな課題を残した。

 「両院協は本来、接点を見いだすもの。行司役が土俵に上がり、ぐちゃぐちゃになった」

 自民党の大島理森国対委員長は27日、両院協前の党総務会で、いら立ちをあらわにした。両院協の議長は衆参でそれぞれ選ばれた議長候補が毎回交代で行うが、初回はくじ引きで決められる。26日の議長を引き当てた民主党の北沢俊美副代表は、協議の打ち切りと27日の再協議を宣言。野党側の思惑通り、2次補正の成立が遅れた。

 国会法によると、両院協で成案を得るには、出席委員の3分の2以上の賛成が必要。しかし、先例で「(委員は)議決に賛成した会派に属する議員の中から衆参議長が指名する」と定める。このため、2次補正を可決した衆院側は与党、逆に修正案を可決した参院では野党から委員が選ばれ、「与野党にまとめる気がないなら、合意は難しい」(衆院事務局)仕組みだ。

 ただ、長年、ごく少数の例外を除いては、両院協議会は形式的な場として、直ちに決裂して即日終了という構図が続いてきたのも事実。今回の混乱は、ねじれ国会で参院を握った民主党が、両院協議会の活用に改めて気づいたという政略的な側面は否定できない。

 こうした事態に危機感を強めた河野洋平衆院議長は27日、自民党の衛藤征士郎衆院予算委員長らに対し「両院協のあり方について検討を始める」と伝えた。参院側も西岡武夫議院運営委員長が27日の記者会見で「仮に政権が交代しても、常に両院が一致するとは限らない。この際、きちっと議論しておくべきだろう」と強調した。

 有識者でつくる「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」はすでに07年11月、両院協のあり方について「所要の改善を行い、使える制度にすることが政治の責任」と見直しを提言しているが、衆院解散をにらむ与野党の対決ムードもあり、たなざらし状態が続いている。【高山祐】

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