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2009年01月27日(火) 21時11分

野村赤字決算 嵐の金融危機に曇る視界産経新聞

 国内証券業界の「顔」である野村ホールディングスが未曾有の赤字決算となった。破綻(はたん)した米大手証券の一角を飲み込み攻勢に転じる思惑とは裏腹に、吹き荒れる金融危機の嵐の前に視界は曇る。経済の血流の一端を担う金融機関の足腰がぐらつき、日本経済のリスクがまた一つ積み重なった格好だ。

 「大変遺憾な結果だ」

 この日の会見で陳謝した野村の仲田正史財務担当執行役は苦渋の表情でこう述べた。

 今回の赤字決算の深刻さは、野村の強みであるリテール(個人向け取引)を中核とした国内営業部門の安定収益が崩れ去ったことだ。株式の売買や投資信託の販売手数料が急激に落ち込んだ。

 米証券大手リーマン・ブラザーズの獲得費用は、平成21年1〜3月期にも今四半期の603億円とほぼ同額を計上する予定で、損失処理は終わらない。新たな人事や組織の整備などリーマン出身者との社内融和も、「着実に進めている」(仲田執行役)というが、急ピッチの作業に社内では戸惑いの声も上がる。米国のCMBS(商業用不動産ローン担保証券)など、なお積み残した証券化商品も抱える。

 一方で、投資銀行部門を中心にしたリーマンとの統合効果について、仲田執行役は「事業再編ニーズの増加など、ビジネス機会の拡大がかなり期待できる」と強調。リテール(個人向け)部門も新規口座開設件数が増えるなど、「金融市場を覆う負の連鎖からいち早く抜け出した」と、早期のV字回復をうかがう。

 だが、今週から本格化する他の証券会社や銀行の4〜12月期決算でも、軒並み業績が悪化する見通し。世界的に金融システム不安が再燃する中、市場の動揺も収まらず、国内金融機関を取り巻く経営環境は厳しさを増している。(兼松康)

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