2009年01月27日(火) 20時03分
<イスラエル>総選挙の争点、景気から安保に 労働党に勢い(毎日新聞)
【エルサレム前田英司】2月10日に総選挙が実施されるイスラエルで27日、選挙運動が全面的に解禁され、各党のキャンペーンが本格化した。世界的金融危機を背景に当初は経済問題が最大の関心事とされたが、パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスとの対立激化で、風向きは安全保障問題に傾いている。主要各党は危機に対処できる「強い指導者」のアピールに躍起だ。
最大紙イディオト・アハロノトが23日に発表した各党の獲得議席予想によると、国会定数120のうち、ネタニヤフ元首相率いる最大野党リクードが29議席(現有12)で第1党に躍進の勢い。続いて、リブニ外相の最大与党カディマ25議席(同29)▽バラク国防相の与党・労働党19議席(同19)▽野党の極右政党・わが家イスラエル14議席(同11)−−の順だった。
イスラエルによるガザ攻撃前の昨年12月下旬と比べ、労働党が7議席を上乗せしている。攻撃前は大きく沈み込んでいた。ガザ攻撃はイスラエル世論から圧倒的な支持を得ており、作戦を指揮し一定の成果をあげたバラク氏の労働党への支持を後押ししているのは確実だ。
これに対し、リブニ氏は目立った「戦果」を上げていない。閣内でいち早く一方的停戦を提唱したが、攻撃続行を叫ぶ右派勢力には弱腰と映り、安定的な停戦を望む左派勢力からも距離を置かれているからだ。カディマは12月下旬に比べ1議席減となった。
リクードはこれまでのところ、安定的に30議席前後の勢いを維持している。イスラエル紙ハーレツによると、現時点ではネタニヤフ氏がリブニ、バラク両氏を抑え、首相候補としての支持が最も高いという。
ただ、安全保障問題でタカ派のネタニヤフ氏は90年代の首相当時、中東和平の実現を目指したクリントン米政権と険悪になった。クリントン元大統領の妻ヒラリー氏を国務長官に据え、「敵」との対話を重視するオバマ米政権の登場によって、ネタニヤフ氏主導の政権が誕生すれば両国間に再び摩擦を招きかねないとの警戒も出始めている。
【関連ニュース】
ガザ停戦協議:米が密輸阻止協力 イスラエルと覚書締結へ
イスラエル:ガザに激しい砲撃、国連施設も被弾
ガザ侵攻:イスラエル参謀総長「空爆2300回以上」
ガザ侵攻:イスラエル軍、包囲網狭めハマス中枢攻撃強める
ガザ情勢:イスラエル侵攻続行…激化する条件闘争
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000112-mai-int