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2009年01月27日(火) 19時51分

マレーシアで空の新旧勢力対立 マハティール氏も参戦産経新聞

 ■エアアジア専用空港にマレーシア航空側が待った

 【シンガポール=宮野弘之】マレーシアを拠点とする新旧の航空会社の対立が激化している。新興勢力ながら東南アジアを中心に急速にシェアを拡大するエアアジアの新空港建設に、国営マレーシア航空側が反対。これにマハティール前首相まで加わった論議に発展している。混乱が続けばマレーシア経済全体にも影を落としかねないとして、懸念が高まっている。

 エアアジアは今月8日、一層の路線の拡大と乗客増に対応するため、クアラルンプール国際空港近くに専用空港を建設、2011年開業の計画を発表した。同社は13年までの4年間で180機以上を運航し、年間最大6000万人の乗客の利用を見込んでいる。

 新空港は、マレーシアの複合企業サイムダービー社と組み同社所有の土地にエアアジアが総工費20億リンギ(約490億円)をかけて建設、運用する。ところがアブドラ政権が建設を認めたあたりから雲行きが怪しくなってきた。

 クアラルンプール国際空港を管理するマレーシア空港会社はエアアジアの計画に対し、既存の格安航空会社専用ターミナル(LCCT)の拡張で十分対応できると主張。マレーシア航空と空港会社を保有する国営投資企業カザナインターナショナル首脳も19日、地元紙に「マレーシア航空は域内の王者になる必要がある」とし、エアアジアの専用空港建設は無駄で「支持しない」と言明した。

 マハティール前首相もこれに同調し建設に反対したことで、事態は急に政治色を帯び始めた。マハティール氏は「隣にクアラルンプール空港があるのに新空港を作るのは金と物の無駄だ」として、建設を認めたアブドラ政権を批判した。

 こうした批判にエアアジア側は「クアラルンプール空港の格安航空用ターミナルを利用する乗客は、高額な使用料にもかかわらず不便を強いられている」と指摘。同社のトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)も、地元メディアに「すでに航空機を購入しており、11年初めには運用を始める。それまで待つことはできない」と新空港の必要性を強調する。

 エアアジアは今後、タイやインドネシア、ミャンマーでも専用空港建設を計画しており、今回はその第一歩と位置づけている。しかし、すでに多額の負債を抱える同社に建設資金調達が可能なのかを懸念する向きもある。このため、建設を認めた政府もここにきて慎重姿勢に転換。月内にナジブ副首相が双方と合い、事態収拾を図る方針だ。

 ただ、金融危機の中で数少ない成長株のエアアジアが相手だけに、マレーシア政府がどこまで規制をかけるつもりなのか、関係者は成り行きを注視している。

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