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2009年01月27日(火) 19時47分

<石破農相>減反など農政改革論議スタート 審議会に諮問毎日新聞

 石破茂農相は27日、食料・農業・農村政策審議会(農相の諮問機関、会長・林良博東大大学院教授)に、食料・農業・農村基本計画の見直しを諮問した。今後約1年かけて議論し、10年度以降の農政の指針となる新計画を来年3月ごろ閣議決定する。食料供給基盤の強化や食の安全・安心などが主な検討項目だが、コメの生産調整(減反)の廃止を含めた見直しなど、与党や農業団体の反発が強い課題もあり、論議は曲折が予想される。

 また、政府は27日、河村建夫官房長官や石破農相ら6閣僚で構成する農政改革関係閣僚会合を設置。石破農相が新設の農政改革担当相を兼務し、政府一体で農政改革に取り組む体制を整えた。閣僚会合は今春までに一定の方向性を打ち出し、基本計画の見直し論議にも反映させる。

 今回の基本計画見直しは、世界的な穀物需給の逼迫(ひっぱく)や食品の安全性をめぐる不安の高まりなどを受け、持続可能な国内農業の基盤をどう確立するかが課題。07年度で40%と低迷する食料自給率(カロリーベース)について、新たな目標を掲げるかどうかも焦点となる。不況で職を失った人々の農林水産業への就業を促し、高齢化などに悩む農山村を活性化することもテーマだ。

 凍結状態に陥っている世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は、今年後半に再開される見通しで、農産物の関税引き下げなど更なる貿易自由化への備えが問われる。最低輸入義務(ミニマム・アクセス)として毎年約77万トンのコメを輸入する一方、国内の水田の4割に減反を強いる政策も限界感は明らか。何らかの見直しが必至だが、「やり方次第で米価が暴落する」(農協関係者)との懸念もあり、衆院選を控えた与党や農業団体は警戒を強めている。石破農相は27日の会見で「政府全体として強い推進力で(農政改革に)当たりたい」と決意を述べたが、調整は難航しそうだ。【行友弥】

 ◇食料・農業・農村基本計画

 旧農業基本法(1961年制定)に代わって99年に施行された食料・農業・農村基本法に基づく政府の農政運営の指針。計画の対象期間は10年間程度、5年ごとに見直す。05年3月に閣議決定された現行計画は、食料自給率を45%(07年度で40%)に高める目標などを掲げている。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000107-mai-bus_all