記事登録
2009年01月27日(火) 19時33分

オバマ政権のインターネット戦略 市民の政治参加促す産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】オバマ米大統領が就任早々からインターネットを使った新戦略を打ち出している。歴代大統領が行ってきた週末恒例のラジオ演説を衣替えし映像も投稿型動画サイト「ユーチューブ」に流したほか、選挙戦でインターネットを通じて広げた草の根組織の存続を決めた。4年後の再選を見据えた動きともみられている。

 オバマ大統領は就任後初の24日のラジオ演説を録画もし、その映像をホワイトハウスの公式サイトやユーチューブに載せた。26日付米紙ニューヨーク・タイムズによると、ユーチューブでの演説の再生回数は60万件以上にのぼった。

 ホワイトハウスの公式サイトも20日の大統領の就任直後から刷新された。サイトの責任者を務めるは30歳のメーコン・フィリップス氏。フィリップス氏は新しいサイトの方針として(1)情報伝達(2)透明性(3)参加−を掲げ、インターネットを活用し、市民の積極的な政治への参加を呼びかけた。

 オバマ大統領は選挙戦でも、演説をユーチューブに流したほか、インターネットを使った献金や、メールによる副大統領候補の発表など、新しい情報媒体を駆使して成功を収めた。

 オバマ大統領は選挙後もインターネットによる約1300万人の草の根組織を存続することを決めた。大統領が公約した医療保険改革、環境問題への取り組みを推進するためのいわば「私的応援団」として活動する。大統領はビデオメッセージで「史上最も大きな草の根組織であり、あなたたちがこの国の将来の方向付けを決めることになる」と語りかけた。

 新組織の発足にかかわったのが選対責任者だったデービッド・プラフ氏だ。プラフ氏はオバマ氏から昨年11月の勝利演説で、「米国史上最高の選挙運動をつくりあげてくれた」と称賛されたが、政権入りはしなかった。プラフ氏がこの組織を維持しながら、4年後の選挙戦で指揮をとるのではとの見方も出ている。

 新組織は、民主党本部内に置かれる。ただ、アメリカン大のジェームズ・サーバー教授は米公共ラジオ(NPR)番組で、草の根組織への参加者には党派を超えた協力を訴えたオバマ大統領の主張に賛同した人も多いとし、党派色が前面に出ることを好まない可能性があると指摘した。

【関連記事】
YouTubeが生んだ初の大統領? オバマ陣営の“動画物量作戦”
「地球温暖化は深刻な脅威」 オバマ政権、気候変動特使が言明
「失望の日は近い」米中絶政策転換でバチカン
中国メディアのオバマ演説一部削除に批判
【海外こぼれ話】人気に便乗「オバマ・コンドーム」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090127-00000598-san-int